サウスウエスト航空|企業名|人本経営企業のベンチマーク|株式会社シェアードバリュー・コーポレーション

人本経営企業のベンチマーク

サウスウエスト航空

サウスウエスト航空編

理念経営実践企業の研究第12弾です。今回は、米国の企業を取り上げさせていただきます。

リッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンなど日本企業にも大きな影響を与えている米国企業は少なくありません。今回取り上げますのはサウスウエスト航空です。書籍『サウスウエスト航空の軌跡 社員第一、顧客第二主義』を読みまして深く感動いたしました。執筆年が98年と古いのですが、おそらく今多くの理念経営を標榜する企業で掲げられている「社員第一主義」を最も早く掲げた企業であると思われます。書籍のデータでは以下のような業績が挙げられています。

1.創立以来1度も人身事故を起こしていない
2.25年連続黒字
3.お客様からの苦情が一番少ない 手荷物の取り扱いが正確 定時性の確保
4.ライバル会社の職員から称賛の手紙が届く
5.フォーチュン誌で「働きがいのある会社」の全米企業ランキングトップ


1は残念ながら、05年にシカゴ・ミッドウェー国際空港で、滑走路の積雪によるオーバーランにより巻き込まれた自動車に乗っていた子供が死亡する事故が発生し、記録がとだえていますが、乗客が死亡する事故は会社創立以来発生していないということです(Wikipediaによる)。また、2については同社のサイトで確認出来る限り、以後2007年まで35年連続で黒字経営を続けています。それでは書籍から学ぶことが出来たこの会社の理念について検証していきます。

サウスウエスト社の理念

・それは私の仕事ではないと言わない→会長自ら率先して実行
・やらなければならないからやるのではなく、自分がやりたいからやる
・ユーモアセンスのある人財を採用する→ユーモアセンスのある人は、変化にも素早く対応できる、プレッシャーの中で面白いことを考え出すことができる
・よく働き、よく遊べ→社長が一番働いている
・ユーモアのセンスを活かし、臨機応変に対応することが、常にお客様の立場に立ってベストを尽くすこと
・同社の企業文化の根本は、ハーブ・ケレハー社長の人柄とリーダーシップによるもの
・リーダーとは、部下のために働くサーバントである
・ケレハー社長は、社員の心の支え、シンボル、権化。この会社からいなくなったら、しばらくは心の中に大きな穴が開いたような気持ちになるかもしれない。だからといって、今まで私たちが彼を中心にして、営々と築き上げてきたサウスウエストスピリッツや、家族的愛に満ち溢れた職場風土やチャレンジングな経営方針などが一朝一夕にして崩壊するほど、私たちは危うくないと信じています。
・私たち一人ひとりがハーブのスピリッツをしっかりと心の中に刻み込んでいる
・誰が読んでもわかるような社内媒体が、社員の心をひとつにするための重要なファクターになる
・社員第一が実は顧客第一と表裏一体。それを一人ひとりの社員自身が十分に理解している
・最後には、自分自身が仕事を楽しむこと
・最終的に人の心を把えるのは、法律やハードウェア、ソフトウェアではなく、身体や精神に障害を持つ人たちへの、優しさや思いやりなどのヒューマンウェアの部分である
・輝かしく、献身的で、仕事に熱心で、情熱的で、理想主義、利己主義ではなく利他主義、そして人々に貢献する


こうした理念がまさに真価を発揮したのが、例の2001年の9.11の惨事が起きた時でした。ハイジャックされた飛行機がWTCを直撃した映像は、ダイレクトに航空業界を襲いました。大手航空会社が軒並み大量のレイオフや減便を実施するなか、なんとサウスウエスト社だけが、惨事のあと一度も運行スケジュールを削減せず、人員削減を一切行わず、さらにはもっとも早くTVCMを放映し航空運賃のディスカントを実施しています。その結果、翌年の前半6ヶ月で2億9,700万ドルの純収益を上げ、全米で最も収益率が高く、財政的に安定した航空会社として永年の評価を得たのです。理念のもつ無限の力をまざまざと感ぜずにはおれません。

以下、当通信がサウスウエスト社の理念経営から感じた学びをまとめておきます。

・なにしろトップ次第であると再認識させられた
・やはり採用基準にこだわっている
・理念浸透を繰り返すことの重要性
・失注してもポリシーを守る
・イベント、社内報、教育が理念経営のKFS(成功への鍵)
・社長が率先垂範している そして無類の勉強家である
・経営情報の開示を徹底する
・世間相場よりもよい賃金水準を確保している
・地域貢献ボランティア活動に注力
・逆三角形ピラミッド(現場が最も尊重される組織づくりをしている)




新SVC通信 第288号(2009.05.18)より

 

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■サウスウエスト航空
全米に路線網を持つ大手航空会社。格安航空会社として知られ、徹底した人件費以外のコスト削減等が図られ、収益率は他社より高い。1973年以来、米国の景気の動向に関わらず黒字運営を続ける全米で数少ない航空会社の1つである。また、経営方針の1つとして「社員第一、顧客第二」を掲げており、米国の航空会社で唯一、アメリカ同時多発テロ事件を受けた航空産業冷え込みにもレイオフを行っていない大手航空会社でもある。2012年にはスイスの航空輸送格付け機関から「世界で最も安全な航空会社」の10社のうちの1社に選定されている。

※参考文献
『社員第一、顧客第二主義―サウスウエスト航空の奇跡』 伊集院憲弘 著
「サウスウェスト航空の成功の秘訣」 大柴ひさみ ※リンク切れ
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