いい会社視察記録

エスエムジー株式会社(現アクロクエストテクノロジー株式会社)


人は「それは理想論」と片付けてしまうことが往々にしてあります。しかし、「理想」という言葉は、あきらめるために存在するのではなく、いつか実現させるために存在する言葉です。「創業以来、私がずっとイメージしてきた理想の姿が今、ここにある。」こう言い切る経営者がいます。新横浜にあるIT企業エスエムジー株式会社の新免流社長がその人です。新免社長のいう理想の姿とは「社長が創る会社ではないということ。社員一人ひとりに、会社を創っているという実感があり、そういう感覚が持てる会社になること。社員からどんどん提案が出てくるほどモチベーションが高い会社。そして、みんなで考えることの醍醐味、そこから生まれる一体感があり、仕事にも人生にも前向きで、活気にあふれていること。」だといいます。この理想がこの会社ではどのように果たされているのでしょうか。


ITの会社というと、社員はパソコンに向かって黙々と仕事をこなしているというイメージがありますが、この会社では、オフィスに入るとすべての社員の方がとびきりの笑顔で来客に挨拶をしてくれます。ホームページでもたくさんの笑顔の社員が目に飛び込んできます。これはつくれと言ったって出来るものではありません。ここの複数の社員から「もう一度生まれ変わってもこの会社に入りたい」という発言がありました。社員にこう言わしめることは経営者冥利につきることだと感じます。

社員の給与を社員自身が決める、これが出来たら確かに理想的であるといえるでしょう。エスエムジーではこれの実現に成功しているのです。それが実現できている理由は、この会社では平素から頻繁に社員間のコミュニケーションが活性化されていることが挙げられます。給与に限らずMAと呼ばれる全社員が参加する会議で重要な経営事項や職場のルールが決定されているのです。これまでにも全社禁煙(社長が喫煙者なのに導入)、就業時間の変更、定時退社ウェンズデイ、配偶者誕生日休暇、そしてなんとSMGValueと呼ばれる経営理念までが全社員参加会議で決定されてきました。ですから同社には「経営理念」ではなく「社員理念」という言葉が存在します。

会社が誰のために存在するものなのか、解説の必要がないほどに伝わってきます。モチベーションが高い組織では、その理由として「素晴らしい仲間」の存在を挙げる社員が少なくありませんが、このことが理念になっているのですから見事というほかありません。こうした理念を実現させていくために同社には管理職が存在していません。一人ひとりが大人の経営者として遇されているのです。大切な「社員に対する信頼」が徹底されていると考えられます。

エスエムジーの経営で特段とこだわっているのが人材育成、教育です。世界一のソフトウェアを生みだすということを目標としていますので、他社と格段に差が出る技術力の向上をさせるために社内講習会が毎週開催され、能力開発のステップが仕組み化されています。同社では発電所の監視システムなどライフラインのシステム開発をしていますので信頼に足る高い技術力が欠かせません。そして、単に技術が高いだけの頭でっかちになることのないように人間力の高い人材を育成していくことにも十分な配慮と実践がされています。

このような技術者のいる会社では、特定労働者派遣という形をとっているケースが多く、相手の会社に行きっぱなしとなり、結局、人入れ稼業と化している会社が往々にありますが、感心なことにここでは「人だし」というスタイルでの仕事は受注しないのだそうです。この姿勢は率直に立派だと感じました。仲間意識を重視する社員理念が立派に生きて培われていると感じます。  

このような社員第一主義経営がIT企業で実現されていたのです。世の中には本当にいい会社が沢山あります。そして人知れず前進しています。そういう埋もれた良心を社会へ知らしめていくことも当通信の役割であると改めて認識させていただきました。

以前にご紹介した坂本先生の著『この会社はなぜモチベーションが高いのか』(商業界)において、調査分析結果からモチベーションレベルと強い相関関係がみられた事項として以下を列挙しました。エスエムジーでは見事にこれを裏付ける経営を実践されているということがいえないでしょうか。

新SVC通信 第340号(2010.06.14)より


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