いい会社視察記録

株式会社リラクⅡ(現株式会社メディロム)


572号でご紹介した株式会社リラク。3回目の視察をする機会がありました。知れば知るほど同社のしていることの凄さに圧倒されています。さらに同社の取り組みを深掘りしていきます。

572号で同社の人本経営に触れました。江口社長は完全にポスト資本主義社会に生きると明確に方向づけをしてリラクを立ち上げています。ご自身の言葉では「for me」ではなく「for you」の社会をつくることをリラクの経営を通じて実現すると宣言されています。

ですから、そういうハートをもった社員を育てていくことが経営目的そのものだとされています。管理するのではなくて、対話を通じた徹底的なサポートを社員たちに約束しています。

「自分の最上位概念に“金儲け”はない」と江口社長は断言されていました。業界の中で最も利益率の低い会社だろうとおっしゃっていました。その理由は、1分単位で残業代を支払っている等、労基法などのコンプライアンスをしっかりと守っているからだと説明していました。儲けるということではなく社員たちが幸せになっていくためだから、それは望んだ結果であるとしています。そしてこうも語られていました。「間違いなく納税額は業界ダントツ」――痺れます。新しい経営の匂いがプンプンしてきます。

クレドを人本経営の実践に役立てている会社が増えつつありますが、同社の活用の仕方がまたユニークでした。それはクレドポイント制度というものです。社員同志が発行された社内通貨のクレドポイントを、いいと思った相手の行動に対して付与しあうのです。紙幣の裏にはメッセージが書けるようになっているのでサンクスカードの役割も兼ねています。さらにたまったポイントに応じてディズニーランド・ペアチケットやハワイ旅行等に交換できるのです。これは相当に盛り上がるだろうと推察されました。

リラクの素晴らしさは人本経営に成功しているだけでなく、しっかりとしたビジネスモデルと壮大なビジョンがあるということです。


通常、サロン系の店舗が拡充していくときには、独立希望のセラピスト養成から始めていきます。養成のためのスクールを開設して、そこでかなり高額な授業料を徴収してフランチャイズになる前にひと儲けしようと考えます。

リラクでも養成のためのスクールを開設していますが、なんと授業料はタダなのです。それどころかスクール受講中は給付金も支給されるのです。なぜそんなことをしているかというと、受講しているセラピスト候補が、間違いなくリラクの提唱する「for you」を実践できる人財かどうかを見極めているのです。つまり金さえ積めば誰でもリラクに加盟できるという訳ではないのです。スクール受講中に、確かにこの方はリラクの理念に共感共鳴できることをスクリーニングしているのです。ですから新規に独立していくお店では、確実にリラクの理念を体現していく仕組みがつくられているのです。

現在ではセラピストを目指す受講希望者が途切れることなく同社に集うようになりました。次々に出店計画が進んでいきますが、成長期にありがちな理念の不調和は根本から起きないようになっているのです。見事なビジネスモデルといえます。

ビジョンがまた壮大です。現在の店舗成長はリアルメディアだと江口社長は位置づけています。世間では安売りのマッサージ店が急増していますが、同社は時間6,000円以下には絶対にしないと決意しています。リラクのお客さんが増えていけばいくほど富裕層の健康状況が蓄積されていきます。それをビックデータ化できた時に、予防医学やバイオテクノロジーなどの先進医療に役立つプラットフォームになると考えているのです。それをデジタルメディアと称しています。ですから、自分たちの会社を医療分野に位置づけているのです。そして、視野は世界を目指しています。着々と米国ナスダックでの上場実現を目指して事業を進めています。リラクのモデルを世界へ展開しようとしているのです。

現在、創業して15年、これから15年でさらに開花させていくと江口社長は自信をもっています。すごいことをやってのけるのではないかと期待感が高まります。これから日本は人本経営を世界へ広めていくことが役割なると確信していますが、その先駆けに同社はなっていくと感じられました。

新SVC通信 第589号(2015.06.15)より



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