株式会社マキオ|企業名|人本経営企業のベンチマーク|株式会社シェアードバリュー・コーポレーション

人本経営企業のベンチマーク

株式会社マキオ

株式会社マキオ編

株式会社マキオさんという素晴らしい会社を知りましたので、『理念経営実践企業の研究』シリーズの第10弾としてご紹介させていただくことにいたします。この会社、結構メディアで取り上げられているのでそれなりに知名度が高いようですが、不覚にも当通信ではその存在を最近認知しました。知れば知るほど「こんな会社があったのか」と伊那食品工業さんを知ったときと同じような衝撃を受けています。

まず、この会社の所在地ですが、鹿児島の阿久根市という人口2万6千人の過疎地域にあります。そんな辺鄙なところで手掛けている事業は、なんと売場面積4500坪(東京ドーム2個分)にもなる巨大スーパーの運営です。商品アイテム数は実に32万点にもなるといいます。スーパーなのに軽自動車も売っているのです。仏壇仏具に至るまで、日常生活に必要なものは何でも売っているといいます。たとえ1年に1個しか売れなくても、お客さんがほしいという商品は店に置いているのです。だから店名は「A-Z」といいます。そこに行けば何でも手に入るという意味です。

夏なのにストーブもあったりします。しかも24時間営業です。流通の専門家たちは、「ありえない、すぐつぶれる」と嘲笑していましたが、開店してもう12年になり、売上規模は160億円以上を記録し、従業員も600人以上に発展しています。経営者の牧尾英二社長は、「生活者の皆さんに合理的に合法的に、質の良い商品を、より安く、タイミング良く提供する」という小売業の使命、すなわち本来あるべき姿を損得抜きで考えて実践してきた結果だとおっしゃっています。他の流通ビジネスを営む企業では考えられない、驚きの連続の経営をされています。その内容を以下に少し紹介します。

・集客目的のチラシは作成しない(売上に対する販促比率0.02%)
・売上げ目標は設定しない
・部門会議、販売会議なし
・バイヤーなし、売り場担当者が自分で仕入れて自分で陳列する
・100円でバスの送迎をして、買ったモノを運転手が家まで配達する
・いまだホームページなし
(2014年4月に公式ホームページ開設)

型破り、まさに非常識経営です。だから社是は『前例否定』なのです。今月鹿児島の過疎地帯に3店目がオープンしました。現在の大不況化にあって「昨年9月からはむしろ売上は上昇傾向(牧尾社長)」にあるのだそうです。イオンなどの大手が悪戦苦闘の経営を余儀なくされているこの時代に痛快すぎです。いったいどうしてこんな凄い経営が出来るのでしょうか。

株式会社マキオ快進撃の秘訣

1.徹底的顧客志向

顧客志向という言葉が陳腐になるくらいに、お客様に徹底的にフォーカスして店づくりをしているということが感じ取れます。完全にお客様の目線から物事を発想しているのです。まず高齢者から巡回バスを期待する声があったので『片道100円バス』を始めています。採算は度外視だったといいます。そうするとお客様が、「あまり気の毒なので自動車も売ってくれないか」という声が出始めました。すると牧尾社長は、車ではなくお店に来店していただくための“足”を販売するという考えで軽自動車を取り扱い始めたのです。ここでは販売時にガソリンを満タンにして引き渡すのだといいます。そして、「なんでA-Zで車を買ったのに車検をしないんだ。」という声が上がってくると、今度はスーパー敷地内に車検工場を設置してしまうのです。この車検工場では1か月で600台以上の車検をこなしているといいます。しかも『お客様が買い物をしている間に完了する』というのです。お客様のこうしてほしい、こうだったらいいのにという夢をかなえる、まさにドラえもんのポケットのようなスーパーなのです。愚直にお客様の声に耳を傾け続けて、なくてはならない店に成長していったのです。

2.存在理由へのぶれないこだわり

大手が間違っても出店しない過疎地域で、日常の買物に不便を感じている方のために店が存在しているという理念が会社の中軸として強烈に貫かれています。だから、いつでも買えるように『24時間営業』となり、何でも買えるように『大型店』であり『32万アイテムの品揃え』となっていくのです。24時間営業とか大型店と聞くと、利益最優先主義かと反応してしまいますが、あくまで地域の生活者のための「A-Z」という存在理由から実践されているということなのです。

恒例ですが、心に残った語録、牧尾英二社長版です。

「小売業は自分の天職」と思い定めました。天職は損得よりも善悪で取り組むものです。

損得を抜きにして、阿久根(過疎地域)で小売業の使命を果たすにはどのような店にすればいいのかを、まず考えました。

先輩の大手量販店も、最初の頃は生活者のために使命を果たしたいとの思いがあったと思います。ところが、時間とともに、自社の利益を優先するようになって、効率を追いかけるようになったのではないでしょうか。そこで私は逆に、地域の生活者に貢献することを第一に考えて、利益は二の次と考えたのです。

素人だけでスタートしたことが成功要因の一つ。素人は色に染まっていないから素直に聞いて、素朴にひたむきにお客さんのお役に立つことを考えて仕事に取り組んでくれます。
望んで入社してくれた人々の雇用は絶対守らなければなりません。




新SVC通信 第283号(2009.04.06)より

 

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■株式会社マキオ(A-Zスーパーセンター)(牧尾英二代表取締役社長)
1980年代より、鹿児島県内3店舗ある大型ショッピングセンター「A-Zあくね」「A-Zかわなべ」「A-Zはやと」の3店舗を運営。今後、鹿児島県内に新店舗も計画中とのこと。
特徴を簡単に挙げてみると、「巨大な店舗面積」「24時間営業・年中無休」「38万点の商品を取り扱う」「自動車から神仏具まで」「3世代、全年齢層が対象」「過疎化の地域に店舗がある」などなど、常識を覆す経営術で、圧倒的な地域の支持を集めている。その他にも車・車検・ガソリンなども取り扱い、生活必需品で揃わないものは無いと言われている。

※オフィシャルサイト
http://a-zmakio.com/

※情報ソース
「過疎の町に24時間営業の巨大不夜城 討ち死に覚悟で天職を全う」
http://www.data-max.co.jp/2009/02/24_6.html
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