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人本経営企業のベンチマーク

株式会社カヤック

株式会社カヤック編

理念を重視すると、社則は独創的になる

『この「社則」、効果あり。』という本を読みました。「総務の森」というサイトを運営していたカヤックの代表取締役を務める柳澤大輔さんによる執筆です。サイトの企画で独創的な社内ルールを実践している会社を紹介する「はっけん!面白制度」を書籍化したものです。紹介されている社則は、確かにユニークなものばかりです。


ペット忌引き休暇(日本ヒルズ・コルゲート)
この会社では、社員が飼っているペットが死亡した場合には1日忌引き休暇を認めたり、弔慰金を支給しているのだそうです。他社からみればそんなふざけた制度とてもありえないとなるところでしょうが、 この会社は大真面目です。それもそのはず、ペットフードの販売会社なのです。

アニバーサリー有給休暇(リクルートエージェント)
勤続1年以上の社員が、あらかじめ本人が定めた記念日に有給休暇を連続4日以上取得した場合、10万円を支給するという強烈な福利厚生制度を設けているのがリクルートエージェントです。一見、余裕があっていいなと感じてしまうところですが、 転職活動の支援ですから、土日、夜が重要な活動時間になるため、ここの社員はあえてこのような思い切った制度を導入しないとまとまった休みが取れません。モチベーションと労働生産性を十分に考慮して制度が実施されていることがわかります。


ほかにも、当通信でご紹介したライブレボリューションの360度評価Six Members Valuationも紹介されていましたが、理念を重視すると、社則は独創的になるようです。ユニーク度でなにより目を引いたのは、この著者の会社であるカヤックの制度です。自ら面白法人と名乗るだけあって独創的な社則のオンパレードです。しかし、読んでいて、この企業は、今、当通信で追いかけている「理念経営」を超真面目に追求している企業だとわかりました。

面白法人カヤック

カヤックは、設立して10年になりますが、著書の中で柳澤さんは明確にこう言い切っています。

「会社にとって一番大事なものは、経営理念、その事実に僕は、創業10年目にしてようやくたどり着きました。ずばり、結論から先に言うと、経営理念こそが、その会社の存在理由です。ですから、社員が誰も覚えていないなんてことは、絶対にあってはならないのです。この確信は、年々深まっています。」

経営理念は、その法人がどのようにして社会に貢献するかを記述したものと定義づけ、カヤックでは「つくる人を増やす」と定められました。その想いはこうです。

何かをつくるという行為の先には、必ず相手がいる。
   ↓
つくったもので感動させたい。「ありがとう」と言われたい。
   ↓
感動を与え、感謝を得るためには相手にメッセージが伝わるものをつくる必要がある。
   ↓
そうすると相手の立場になって考える。良いものをつくるためには深く深く考える。
   ↓
深く考えてつくる人が増えると自分本位ではなく相手の立場で考えられる人が増え、一人ひとりの価値を 尊重する社会が実現する。


この理念をもとに、仕事を通じて世の中にひとりでも多くの「つくる人」を増やすことがカヤックの活動になっている訳です。利他の心が明確に染み込まれた素晴らしい理念経営を実践されているのではないでしょうか。 会社につくる人を増やすことに加えて、画家や建築家を支援するサービスも生み出しています。

理念の浸透のために、カヤックでは半期に1回「ぜんいん社長合宿」という経営理念を深く考える機会を設定しているということです。その時々の経営課題を与え、社長になったつもりで、解決策についてチーム単位でブレストをしながらアイデアづくりをしていくのだそうです。 いやおうなく経営理念を見つめなおすことを繰り返しているのです。年に2回も全員参加というのは並大抵ではありませんが、そこまでしてすることで経営理念をいかに大切に捉えているかというメッセージは十分に社員に伝わることでしょう。

この会社のサイトには、なんと100名近い社員全員のかなり詳しいプロフィールがUPされています。これは以前にご紹介した美容室バグジーの「ひとり光るみんな光る」に合い通じるものがあると感じました。ある社員がカヤックで働き続けたいのに家庭の事情で通勤が困難になったときに、支社まで作ってしまったというエピソードが書籍で紹介されていましたが、いかに社員を大切にしているかということが推察されます。

最高の社員満足をはかることは、理念経営を実践する21世紀型企業の特色となることが、やはりここでも顕著に出ているようです。残り紙面がわずかになってきましたがカヤック柳澤社長の心に残る言葉を上げてみます。


すべての社員には、会社の存在理由について、自分自身の言葉で解釈をする義務がある

全社員の存在理由の集まりが会社の存在理由

「何をするか」より「誰とするか」

ブレストの際には口に出さないだけではなく心の中でも相手の意見を否定しないこと

カヤックのリーダー像は、誰よりも変わることが出来る人、誰よりも素直に人の意見を聞ける人

その会社の理念はオフィスにも反映される

人は人との出会いによってしか成長できない



新SVC通信 第254号(2008.09.08)より

 

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■株式会社カヤック(柳澤大輔代表取締役)
1998年8月3日、貝畑政徳、柳澤大輔、久場智喜の3名によって合資会社カヤックを設立。社名の由来は代表取締役の名前(Kaihata、Yanasawa、Kuba)から命名された。2005年1月21日株式会社へ。社員数97人。Webデザイン界では一目置かれる会社。独自プロジェクトは数知れず、国からも仕事請け負っている。 それ以外に、飲食事業やソーシャル系アプリの制作も行っている。

※オフィシャルサイト
https://www.kayac.com/

※カヤック経営理念
https://www.kayac.com/vision/vision

※参考文献
『この「社則」、効果あり。』 柳澤大輔 著
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