第846号 業績軸か幸せ軸かの判断基準

第846号 業績軸か幸せ軸かの判断基準

業績軸か幸せ軸かの判断基準


「これからは人本的な生き方、あり方でなければ社会は成り立たないし、企業も人本経営を強く意識している会社でないと世間から支持されなくなるだろうと日に日に感じています」という声が多く届くようになってきました。

今、企業経営の世界で起きていることは「業績軸から幸せ軸へ」という転換です。時代の変化はオセロゲームのように一気に白黒がつくわけではありません。それなりの時間を経て、新しい時代の様相が色濃くなってくるようになります。この段階で意識しておきたいのは、幸せ軸で行動しているという判断をしていくことです。

幸せ軸の世界では、持続可能性を高くしていくことを目指し幸福な状態の永続を理想とします。ですから、経営者であれ、被雇用者であれ、取引先であれ、今、ともに仕事をしようとしている相手が幸せ軸で行動しようとしているかどうかを判断して自らの行動選択をしていくことが、この先の自らの、そして家族の幸福がかかっていく重要なイニシアチブになるといって過言ではありません。今週号では、その判断基準となる視座を示してみたいと存じます。

【業績軸か幸せ軸かの判断基準】 ※下部の表をご覧ください

下記は、今働いている会社、あるいは取引をしようとしている会社、または就職しようとしている会社など、その企業と関わろうとするときに、その会社が業績軸なのか幸せ軸なのかを判断できるポイントを表にしたものです。着眼点はもっとたくさんありますが、とりあえず重要と思われる10項目を掲げてみました。

まず、何よりも大事なのはトップの経営姿勢です。その方の発言から読み取ることができるでしょう。ホームページ等には経営者の挨拶文がほとんどの会社で掲載されています。ここで社員に対する思いをどう語っているかで概ねわかります。社員を幸せにしたいという雰囲気が伝わってくるかどうかです。社員の「しゃ」の字も出てこないサイトもありますが、そこはまず幸せ軸ではないと判断できます。

目標より何のためという目的を逸脱していないこと、さらに急成長・急拡大しようとしていなことなどもわかりやすいポイントでしょう。また、例えばコンプライアンスなどの経営課題があったときに、性悪説で発想するのか、性善説をベースにするのかという企業文化も決定的に差が出るので良い判断軸となります。

人事も差が見極めやすい項目です。問題社員だからと言って排除の方向へ進むのか、取り残さず底上げを図るのか、ここも価値観がよく出るでしょう。そして社員の家族がどう扱われているか、また仕入先、取引先をどう呼称し、どのように処遇しているかも判断しやすいでしょう。

目先の利益にとらわれず、選択する側も相手が幸せ軸に生きているかどうかを判断して、お付き合いするのかどうかの選択をすることがとても重要です。それこそ自己責任といえるのです。

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