第824号 有事は六中観で乗り切れ

第824号 有事は六中観で乗り切れ

有事は六中観で乗り切れ


渦中となってきた新型コロナウイルス問題。社会に与える影響は、東日本大震災に匹敵する様相を呈しています。ただあの時は、移動の自由はありましたから、善意のボランティア活動をする人々の徳の力が発揮され、また、自粛はよくないということで行動をすることが出来ました。今回は、その行動が制限されているので、その面ではより厳しい状況です。とはいえ、2万人を超える方が犠牲になったあの災害に比べれば遥かに軽微な事案です。そして、必ず終焉がきます。それも数か月ですから、泰然自若としていたいものです。

天下の木鐸と仰がれた哲学者、安岡正篤師の六中観(りくちゅうかん)の教えを今こそ振り返り、何をなすべきか、自省をしてみましょう。

師は「私は平生ひそかにこの観をなして、いかなる場合も決して絶望したり、仕事に負けたり、屈託したり、精神的空虚に陥らないように心がけている。」と述べておられます。

一、忙中閑あり
「ただの閑は退屈でしかない。ただの忙は文字通り心を亡ぼすばかりである。真の閑は忙中にある。忙中に閑あって始めて生きる」

二、苦中楽あり
「いかなる苦にも楽がある。貧といえども苦しいばかりではない。貧は貧なりに楽もある」

三、死中活あり
「死地に入って活路が開け、全身全霊をうちこんでこそ何ものかを永遠に残すのである。のらくらと五十年七十年を送って何の生ぞや」

四、壷中天あり
「世俗生活の中にある独自の別天地をいう」

五、意中人あり
「常に心の中に人物を持つ。或いは私淑する偉人を、また要路に推薦し得る人材をここというように、あらゆる場合の人材の用意」

六、腹中書あり
「目にとめたとか、頭の中のかすような知識ではなく、腹の中に納まっておる哲学のことである」

どうしようもない状況が続くと、逃げ出したくなるのは当然です。しかし、「背水の陣」まで追い込まれる事により、通常の能力以上の能力が発揮できるものです。今では人を大切にする人本経営で名を馳せるような名経営者の皆様も、数々の試練や苦難を乗り越え、文字通り「死中、活有り」を実践してきたというエピソードは本当によくお聴かせいただくところです。

■危機的状況時にこそ見せた経営者の背中と心

「目先の売上欲しさに動くことは簡単だが、一回出ていった企業が戻ってくるのは、出ていく時の何倍も厳しくなるだろう。変わらなければ生き残っていけない。進化せず止まったら終わりである。」

自分たちの持っている金型技術の独自性を信じる決断をし、それまでの薄物から厚物の金型開発に転換していきました。売上・利益は下がり3年間は苦しかったそうですが、弱電業界から自動車業界に徐々に活路が開け、危機を乗り越え、日本でのモノづくりにこだわり続けて快進撃を続けています。

皆の雇用を守るために常に変わり続けていこうと経営者が先陣をきって身を投げ出したのです。「最低限、社員と家族は食べさせていかなければならない。社長は水だけでいい。実際にそうしてきた。」といいます。遠くをはかることが出来たからこその決断でした。もしも中国へ進出していたら、この会社は今頃どうなっていたことでしょうか。

有事の今、トップの決断がとてつもなく重要です。

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