第821号 SDGsが目指す「六方よし」と人本経営の世界観

第821号 SDGsが目指す「六方よし」と人本経営の世界観

SDGsが目指す「六方よし」と人本経営の世界観

先週、素晴らしい方とのご縁をいただきました。その方は、日本でいちばんSDGsを理解している人物といわれるSDGパートナーズ有限会社の代表取締役CEO田瀬和夫さんです。田瀬さんは92年に外務省に入省し、国連政策課、人権難民課、国連日本政府代表部一等書記官等を歴任し、緒方貞子氏の補佐官として「人間の安全保障委員会」事務局に勤務し、国連広報センター長を務めたという経歴の持ち主です。2014年に国連を退職後は、デロイトトーマツでCSR・SDGs推進室長として、企業のサステイナビリティ強化支援を手がけ、2017年9月に独立し、新会社SDGパートナーズを設立されています。

つまりは、SDGsが世界に登場してくる舞台裏でつぶさに当事者として関わり、まさしくSDGsの誕生とともに起業し、日本に世界にSDGsの輪をかけることをミッションに活動されている御仁なのです。大手コンサル会社からご自身が独立した理由は、高いコンサルフィーではとても中小企業や地方自治体では負担できず、SDGsの実装が進まないと考え、廉価でサポートサービスを展開するためだということです。

■「六方よし」経営

SDGパートナーズの理念は、惚れ惚れするほど素晴らしい内容です。

近江商人の信条を土台として、さらに三つの「よし」を加えた「六方よし」を提案するとして、一つはサプライチェーン上の「作り手」が守られ真価を発揮すること、二つ目はわれわれの活動の舞台である「地球」が健康な状態にあること、そして三つ目はわれわれの次の世代、そしてそれに続く世代に借金を負わせないような行動をいま私たちが取ることだと呼びかけています。「六方よし」、すなわち、売り手よし、買い手よし、作り手よし、世間よし、地球よし、未来よしです。SDGs時代の「六方よし」経営を実現していくことで、限られた資源を奪い合う「ゼロサムゲーム」から、地球や未来の世代を含む全員が恩恵を受ける「プラスサム・ゲーム」の基礎を創るとされています。

六方よし、大変共感いたしました。人本経営が織りなそうとしている世界観と寸分違わぬ価値観であると確信いたしました。SDGsと人本経営、親和性か高いとこのところ指摘してきましたが、それもそのはず、根っこの思想が全く同じなのです。SDGsが目指す持続可能な発展は、人本経営では年輪経営による永続実現というあり方そのものと置き換えることが出来ます。弊社SVCでは、今後、人本経営ベースでSDGsを実践していく活動を事業の中核にしたいと考えるに至りました。強く前進させていきたいと存じますので、ぜひ今後も、より強くエンゲージメントをしてくださるようお願いいたします。

さて、田瀬さんのお話から、改めてSDGsについて理解を深めたことを書き留めていきたいと存じます。SDGsは、一層大きな自由をめざすことです。自由を表現する英語には、リバティ(束縛されない自由)と、フリーダム(出来ることが多くなる自由)がありますが、SDGsが意識していることは後者で、よりフリーダムな社会になっていくことで選択肢が増えることになり、その結果、自分らしく生きること(ウェルビーイング)が実現した社会を目指しています。

これが、SDGsが果たしたいゴールの姿なのです。

田瀬さんは、現在の日本は、かつての高度成長期の成功体験が足を引っ張っていると指摘されていました。ピラミッド組織で画一的な大量生産を実現し、効率よく多く売りさばいていく、この拡大再生産の仕組みを日本的経営は見事に体現することに貢献しました。それは男性中心という、同質を強みにしていた要因がありました。時代が変わった現在、大量生産大量消費は社会の規範ではなくなり、多様性を受け入れないと立ち行かない社会環境になっています。そして同質であるがゆえに変化に弱く、衰退する企業が増加している現状が露わになってきました。多様性に寛容になると、相手を尊重しながら、自分が適切に主張していくことが求められる結果、一人ひとりの個が強くなり変化にも強くなると指摘がありました。それを叶えるSDGsの実現にむけては、マインドセットを変えていくこと、そのためにトップのコミットメントが不可欠であると語られていました。

業績軸から幸せ軸へ、経営の軸の舵取りを変えるには、トップの本気度にかかっていること、そして理念の浸透、企業や組織風土づくりが重要と考える人本経営の実践プロセスとここでまた一致点がみられます。逆説的に言うと人本経営に成功できる会社は、SDGsの実装も確実に成功できると見通せるのです。

[今週号のニュースソース]

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