第699号 日和建設~新タイプのいい会社現る|2017|新SVC通信|株式会社シェアードバリュー・コーポレーション

新SVC通信

2017/08/28

第699号 日和建設~新タイプのいい会社現る

「人を大切にする会社」に関するトータル情報誌
新SVC通信 第699号



日和建設~新タイプのいい会社現る




大阪八尾にある日和建設さんを視察させていただきました。

経営者の山下共子社長は、24歳の時にハローワークから一般事務で入社され、その8年後の32歳でなんと社長に抜擢されました。

建設の元請けという「男の世界」で、業績を順調に伸ばしています。

社長の娘さんが経営者になって苦労しながら切り盛りしている人本経営のケースはこれまでありましたが、創業家と縁もゆかりもない一般女性のサクセスストーリーは超レアケースといえるでしょう。

山下さんは結婚、出産、そしてDV被害にあい夫と別居、さらに離婚という波乱万丈な家庭状況の時に、この会社に入社しました。一般事務での採用でしたが、ご本人曰く「全く出来なくて」外回りの仕事に配属されたそうです。会社側としては「辞めてもかまわない」という判断での人事でした。しかし、会社の思惑に反して、営業で仕事を受注し、実績を積んでいったのです。

壮絶な家庭状況の中で、「今は無職になれない」と必死の思いで仕事をこなしていったそうです。当時の経営者はかなりのご高齢で、ほどなく他界されました。「後継者を誰にするか」となったとき、社長のご子息の3兄弟は、こぞって「山下、よろしく」ということで、弱冠32歳で経営を任されたのです。それからは様々な交流会に参加し、他社の先輩経営者からの助言を素直に聞き、試行錯誤を繰り返しながら経営者として成長していきました。とても素直な性格に加え実行力が優れていたのだと思いますが、並大抵の努力ではなかったことでしょう。

■「正しい」ではなく「楽しい」が価値基準

「正しい」という価値基準を前面に出してしまうと、どうしても主張しすぎ、エゴになりやすく、それでは人がついてこないと山下社長は考え、「楽しい」経営を志し、喜びにあふれている職場を創ることに専心しているということです。

そこで、「社員がイヤだという仕事は受注しない」方針を貫いているといいます。例えば、夜間工事の仕事が取れそうでも、稼ぎたいのでその仕事をやらせてほしいという社員がいない限りは手を出さないといいます。

楽しくあるために、仕事以外の社外活動には特に熱を入れているとのことでした。協力会社も巻き込んでのゴルフ部や、退職した社員や社員のお母さんもメンバーとして参加するグルメ部などのサークル活動をとても大切にしています。そして、社員同士仲良くなってもらうために、バーベキューを開催する際には、なんと事前準備を山下社長が一手に引き受けて、食材も超高級なものを用意して振る舞うそうです。社員が事前準備をさせられたら楽しくはないだろう、という判断なのです。

4年前から同社は、「残業なしの会社」を実現しています。17時30分になると会社のシャッターが閉ざされます。取引先や顧客にも、当社はそういう会社であるということを知らしめるために、会社の玄関脇の窓ガラスに「残業なしの会社」という大きなポスターが掲示されています。

時短の秘訣を尋ねると、「とにかく社員同士が仲良くなること、それだけで残業はなくなる」ときっぱり。皆応援しあい、仲間のために走り、チームワークがいいので残業なしで経営が回っているというのです。

いい会社には、概ね共通したパターンがあると実践研究してきましたが、日和建設は、新しいタイプの会社が、新しいタイプの経営者により誕生してきていると感じさせられました。今後に注目していきたいと思います。


  • 前の記事
  • 一覧へ戻る
  • 次の記事