いい会社視察記録

株式会社カヤック


『この「社則」、効果あり。』という本を読みました。「総務の森」というサイトを運営していたカヤックの代表取締役を務める柳澤大輔さんによる執筆です。サイトの企画で独創的な社内ルールを実践している会社を紹介する「はっけん!面白制度」を書籍化したものです。紹介されている社則は、確かにユニークなものばかりです。

ほかにも、当通信でご紹介したライブレボリューションの360度評価Six Members Valuationも紹介されていましたが、理念を重視すると、社則は独創的になるようです。ユニーク度でなにより目を引いたのは、この著者の会社であるカヤックの制度です。自ら面白法人と名乗るだけあって独創的な社則のオンパレードです。しかし、読んでいて、この企業は、今、当通信で追いかけている「理念経営」を超真面目に追求している企業だとわかりました。


カヤックは、設立して10年になりますが、著書の中で柳澤さんは明確にこう言い切っています。

経営理念は、その法人がどのようにして社会に貢献するかを記述したものと定義づけ、カヤックでは「つくる人を増やす」と定められました。その想いはこうです。

この理念をもとに、仕事を通じて世の中にひとりでも多くの「つくる人」を増やすことがカヤックの活動になっている訳です。利他の心が明確に染み込まれた素晴らしい理念経営を実践されているのではないでしょうか。 会社につくる人を増やすことに加えて、画家や建築家を支援するサービスも生み出しています。

理念の浸透のために、カヤックでは半期に1回「ぜんいん社長合宿」という経営理念を深く考える機会を設定しているということです。その時々の経営課題を与え、社長になったつもりで、解決策についてチーム単位でブレストをしながらアイデアづくりをしていくのだそうです。 いやおうなく経営理念を見つめなおすことを繰り返しているのです。年に2回も全員参加というのは並大抵ではありませんが、そこまでしてすることで経営理念をいかに大切に捉えているかというメッセージは十分に社員に伝わることでしょう。

この会社のサイトには、なんと100名近い社員全員のかなり詳しいプロフィールがUPされています。これは以前にご紹介した美容室バグジーの「ひとり光るみんな光る」に合い通じるものがあると感じました。ある社員がカヤックで働き続けたいのに家庭の事情で通勤が困難になったときに、支社まで作ってしまったというエピソードが書籍で紹介されていましたが、いかに社員を大切にしているかということが推察されます。

最高の社員満足をはかることは、理念経営を実践する21世紀型企業の特色となることが、やはりここでも顕著に出ているようです。残り紙面がわずかになってきましたがカヤック柳澤社長の心に残る言葉を上げてみます。


すべての社員には、会社の存在理由について、自分自身の言葉で解釈をする義務がある

全社員の存在理由の集まりが会社の存在理由

「何をするか」より「誰とするか」

ブレストの際には口に出さないだけではなく心の中でも相手の意見を否定しないこと

カヤックのリーダー像は、誰よりも変わることが出来る人、誰よりも素直に人の意見を聞ける人

その会社の理念はオフィスにも反映される

人は人との出会いによってしか成長できない

新SVC通信 第254号(2008.09.08)より



サービス一覧

講座日程一覧

お問い合わせ