いい会社視察記録

株式会社NAVI(ホテルグリーンコア)


人本経営の勢いはとまりません。とうとうビジネスホテル業界でも、人本経営に成功している企業を認識いたしました。株式会社ナビが運営するホテルグリーンコアです。代表取締役は金子祐子社長。埼玉県に3軒、茨城県に1軒のビジネスホテルを営んでいます。

一般的にビジネスホテルでは接客などの人的サービスを極力省くことが効率的と推奨されていますが、ここではその真逆、つまり、お客さまに積極的に関わっていく接客スタイルを構築しています。

その結果、立地条件はかなり悪いにもかかわらず、多数のリピーターやファンを獲得し、全店舗で年間平均稼働率が90%以上(2012年度)になっています。

幸手市にある同ホテルの本館は、ビジネスホテルのはずなのに――
部屋にはベッドがありません。デスクもありません。

床はフローリングで、中央にはテーブルが掘りごたつのように床から浮き上がる仕掛けがありました。

こんなアイデアも社員から出されているのです。その結果、ビジネスマンだけでなく家族ユースの新規顧客が増えていったのです。

ここでは社員たちが自主的に、自分で考え、自分で判断して行動することを経営陣が後ろでサポートしています。人本経営の特長の一つである「管理ではなく支援するマネジメント」が実践されているのです。当然、ノルマはなし。組織を硬直させないことを大事にしています。

大変な仕事を、仕事だから、指示を受けたからするのではなく、自ら積極的に動いているとのことです。単に作業をこなすのではなく、お客さまが喜ぶことを想像しながら、お客さまのニーズの一歩先の価値を提供し続けていくことを心がけています。


グリーンコアのスタッフが夢中になって働く秘訣は、金子社長曰く「マザーリングマネジメントの実践」にあるとおっしゃっていました。カリスマ型の父性のリーダーシップで社員をぐいぐい引っ張るのではなく、社員の主体性、自発性を開花させる母性の経営を実践しているという訳です。

その極意は、

だそうです。

マネジメントは部下と闘うことではなく、スタッフの行動が次へ繋がるように環境を整えることだと金子社長はいいます。結果、強い信頼感が経営者とスタッフの間に生まれたそうです。

業務命令では、自発性は絶対に生まれません。金子社長は、社員たちが自発性を発揮するためには「信頼されている」「受け入れられている」「関心をもたれている」状態をつくることが必須で、それを社員が感じて、自発性のスイッチを本人たちが入れるのだと解説しています。

グリーンコアの成功の最も大きなポイントは、この信頼に基づく人間関係が出来上がっているということです。信頼の人間関係形成のために、「コミュニケーション」と「任せる」が手段として重要だと金子社長はいいます。コミュニケーションは、チャレンジできるよう背中を押すために、任せることは、社員一人ひとりに絶え間なく思考してもらうために実践していると明快です。そして、任せた以上口を出さないことが肝要と言われています。それこそ、「ん?」と思ったとき、何か言いたくなったときこそ信じて黙るそうです。外的コントロールしようとすると自発性が引っ込んでしまうという訳です。

金子社長の実践するマザーリングマネジメントでは、以下のことが実現されていることになります。

見事に人本経営のあり方と被っているのです。結果が出るのもうなずけます。

新SVC通信 第580号(2015.04.06)より



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