いい会社視察記録

株式会社ファースト・コラボレーション


全国展開をしている不動産業のエイブルでは、毎年度、フランチャイズ加盟店で働く3000人近いスタッフの顧客満足度日本一の表彰を行っています。

高知県でこのエイブルに加盟している株式会社ファースト・コラボレーションの社員の表彰歴が見事です。2006年度以降の8年間で第1位ならび第2位に表彰された社員をそれぞれ6度も輩出しています。もちろん、この間業績も堅調に推移してきています。

これまで1位となった社員はすべて女性です。男性社員も明るく人あたりのいい方が多いのですが、同社ではとりわけ女性社員の活力が際立っています。まったくやらされ感が感じられません。

今回の取材では4人の女性社員の方にインタビューをさせていただきましたが、聞き取りの場に自然な感じで入れ替わり、応対する形で話をお聴きするという状態になりました。同社では「チーム接客」といって、一人だけが来店されたお客様のお相手をするのではなく、気がつけば数名の社員が物件相談の輪に加わっている、という接遇をされています。

出来るだけ多くの社員がそのお客様の役に立ちたいと、自発的に接客に参加しているのです。取材インタビューでもまさしくその状態が再現されていたという実感をもちました。

すべての方から感じられたのは、心から仕事を楽しんでいるということでした。その社内の雰囲気が来店されたお客様に伝播して、お客様も楽しい雰囲気になっていき、満足感が増幅していくことで前述の高い顧客満足度という結果が導き出されているのだろうということが推測されました。

武樋泰臣社長は語ります。「空気感がお客さんを呼んでいる。職場のムードが盛り上がっているときは必ず業績が上がるのです。」

社風と業績に相関関係があると気づいた武樋社長は、「元気で明るい風土」「ひとりひとりが主人公」「チームワークが発揮される職場」が実現できることを経営理念に込めて社員との共有化をはかっていくことにしました。社員からのこんな会社にしたいという意見も妥協なく吸い上げていきました。

その結果、「フラットな組織」「命令なし」「ノルマなし」「歩合なし」「営業なし」という経営スタイルが実現されていきました。

「社長のための、社長が主役の会社ではなく、社員一人ひとりのよりよい人生のための、社員が主役の会社が理想です。」と武樋社長は言い切ります。「社員がパートナーというより、自分自身が社員のパートナーとなりえているかどうかを、自らに問う」ことを心がけているということです。「当社は逆ピラミッド、逆三角形の一番下に社長がいて、現場が仕事をしやすいように支援をする」のが社長の役割だと心に決めているのです。

ここまで大切にされたら社員は意気に感じない訳がありません。社長の思いに応えるように様々な場面で助け合い、思いやりあいが社員間でも発生していくようになりました。極めつけの成果といってもいいのが「出産スケジュール表」というものでした。

様々な会社で視察させていただきましたが、それは初めて見るものでした。なんと女性社員同士が今後、いつ頃出産し、産休・育休をどのくらい取得するかという希望を出し合った7年間のガントチャートだったのです。そして社長は、誰も希望の出ていない空白の期間に新店の出店計画を立てているのです。あくまで主役は社員ということが貫かれていました。社員を幸せにしていけば、その分幸せが返ってきて会社の状態がよくなります。

その結果、もっとも幸せ感を味わうのはいうまでもなく経営者なのです。

新SVC通信 第526号(2014.03.17)より



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