いい会社視察記録

株式会社沖縄教育出版


当通信ではこれまで相当に理念経営をしている会社を研究してきましたが、理念経営の完成形に近い企業を本号の「理念経営実践企業の研究シリーズ」でご紹介いたします。その会社は株式会社沖縄教育出版さんです。出版と社名にはありますが、同社の主事業は健康食品の通信販売です。

那覇で最も賑やかな国際通りにある同社のあるビルに着き、エレベーターでオフィスのある階へと向かいました。扉が開いた瞬間、「ようこそ沖縄教育出版へ」と書かれた大きなウェルカムボードが目に飛び込んできました。お世辞にもうまいとはいえませんが、温かさがすぐに伝わってきます。同社では障害者雇用に積極的に取り組んでいますが、ダウン症の障害をもった社員の方が、ウェルカムボードを手作りしているのです。

事務所に入ると驚きました。壁という壁じゅうにメッセージカードが貼り付けられているのです。「すべての仕事はお得意様のためにある」「理念は常に問い続けること 理念は行動・実践の中にある」「自分を責めず、相手を責めず、問題を攻めよ(解決しています)」「21世紀は人と大地が輝く世紀」「頑張らなくてもいいからあきらめないでね」「いい言葉の習慣がいい心がまえをつくる」などその数、軽く100枚は超えていたでしょう。仕事で一息つくと必ずどれかのメッセージが目に飛び込んできます。上のフロアの会議室も同じ状態です。そうすると常にポジティブな言葉に触れるためボーッとしていられなくなる効用があるという実感をもちました。いわゆるクレドカードと同じ効果です。これがオフィスにいる間中続くのです。これらのメッセージは創作したものだけではなく、社長の川畑保夫さんを中心に、本を読んだりするなかで心に響いたり、いいと思ったフレーズを次々に貼っていった結果、壁一面が言霊で埋め尽くされるようになったのです。

そのメッセージカードのなかでもひと際気になったのが「仕事は芸術だ!仕事は祭りだ!」というものでした。川畑社長にこの意味を説いてくださいと尋ねると、「仕事は極めれば美しいもの、綺麗ではなく美しい状態を仕事を通じて目指すのが“芸術”という意味。それから、人様のお役に立つ仕事は楽しくて、楽しくてしょうがないもの。お祭りはみんなで自然に参加して盛り上がります。本来仕事はそういうものですから“祭り”なのです。」と教えていただきました。なるほど、これは同社の企業理念である「私たちは、地球上に住むすべての人々が健康で平和に暮らせる社会をつくるため、みんなで力を合わせて、働きがいのある楽しい職場環境を創りお役立ちの喜びを実践しています。」を端的に表した社是そのものなのだと説明をお聴きして納得いたしました。“お役立ち”と“一人ひとりが主役”ということが同社の最も大切にしている本源的価値であると掲げている理念から感じ取ることが出来ました。それを一人ひとり落とし込むために日々実践しているのが、日本一長く、そして楽しい朝礼です。


朝礼ではペアになって全社員が日替わりでファシリテーターを務めていきます。ハッピー体操、お客様自慢、昨日の“お役立ち”など定番メニューがありますが、ファシリテーターの方や発表者は、思い思いに演出をして参加者を楽しませてくれます。そして、皆さん実に楽しそうに、ある時は心を震わせて涙ぐみながらスピーチをしていきます。

1時間半に及ぶ朝礼で参加した半数近くは何らかの発言をしたように思います。皆さんの日々の活動が伝わってきます。心に熱いものがこみ上げてきました。やる気が出てくる朝礼なのです。この状態で仕事に入っていったらそれはいい仕事が出来るに違いないと実感しました。

例えばコールセンターのオペレーターでしたら、お客様には明るくハツラツとした態度で心から相手の役に立つためのサービスをするに違いないと感じました。そうするとお客様からは「ありがとう」と感謝の声をたくさん戴けるようになるだろうと思いました。リピート率95%という実績を達成できる秘訣がここにあるのです。

川畑社長は、こう考えているのです。『言われて嫌々やる仕事の成果は1にしかならない。けれど理解して納得してやると1.6倍に、さらに自ら目的・目標を持ってやると1.6の二乗、つまり2.56倍の仕事ができる。6時間のパートさんの場合、1時間朝礼すると実働時間は5時間となります。これが理論上は、嫌々なら5時間、理解して納得してやると8時間、自ら目的、目標を持ってやると13時間分の仕事ができるわけです。ですから、決して非効率ではないんです。』

頷けます。これぞ理念経営の真骨頂ともいうべき概念と実績です。素晴らしいとしか言いようがありません。

それでは恒例になりました心に残った言の葉を挙げていきます。

新SVC通信 第301号(2009.08.17)より



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