第1110号 正解は、人的資本経営でなく人本経営を実践すること

第1110号 正解は、人的資本経営でなく人本経営を実践すること

パナソニックでは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる人的資本経営を推進しています。→サイトその一方で国内外1万人の人員を削減すると公表しています。→記事

オリンパスグループの最も重要な経営資源は人。従業員の可能性を最大限に引き出し、価値向上につなげる 人的資本経営 に取り組んでいます。→サイトその一方で社員2000人を削減するとしています。→記事

人的資本経営を謳っている企業で何故リストラが横行しているのか

冒頭、象徴的な企業事例を掲示しましたが、人的資本経営に取り組んでいると大々的に喧伝している多くの有名企業が同時に中高齢社員を対象に千人、万人と帯びただしい数のリストラを仕掛けています。以前にも喝破しましたが、人材を資本としているから、人的資本経営では、減資という考え方が生じて、恥も外聞もなく社員の数を減らすリストラが繰り返されています。その目的は、それで投資家たちに企業価値を認めてもらい株価を向上させていくことであるとパナソニックの現経営者は語っています。企業価値などという曖昧なつかみどころのない言葉に振り回されて、人生にとって大事な40~50歳代の職業生活を棄損されてしまう社員はたまったものではありません。

人的資本経営は「人を大切にする経営」ではない

優先するステークホルダーが、社員より株主であることは明白で、人的資本経営は紛れもなく「業績軸」の経営であることが露呈しました。今後、この言葉を謳っている会社は、すなわち業績軸の会社と認知していかざるを得ないと存じます。

生産年齢人口が激減している現在、そして未来に持続可能性を高める「あり方」は業績軸ではなく幸せ軸です。それを体現するのが人を大切にする経営です。人本経営は、その実現のための唯一の方法とは言いませんが、確実に人を大切にする経営が職場風土に形成され、幸福度を増進させられた社員は一心に顧客を喜ばせる仕事を自律自発的に行い高い顧客満足を得て好業績という結果をもたらします。

ファンを増やすことこそが企業価値

企業経営が存続していくには、株価が高いことよりも、お客様に選ばれ続けることの方が何十倍も重要なことは子供にもわかる理屈でしょう。ファンを増やし続ける会社こそが企業価値が高いのです。株価を上げるために仕事をさせられることとファンを増やすために仕事にむきあうというのでしたら、どちらが働く幸せを実感できるでしょうか。答えは言うまでもないことでしょう。

賢明な企業は気がついている

 これもご紹介してきましたが、一方で人的資本経営ではなく、人を資本ではなく本位、中心ととらえ、わが社は人本経営と明確にこの言葉を使っている日高屋(記事)や千房(記事)、あるいは人本主義と明確に打ち出しているサントリー(記事)や良品計画(記事)や人本という言葉は使っていないものの明らかに幸せ軸経営に転換したトリドール(記事)の事例など人を大切にする経営を明確に打ち出し行動している企業の存在も目立ち始めています。いずれも好業績ゆえに目立ち、今、重要に取り組んでいることが幸せ軸の「人を大切にする経営」であると注目をされているのです。

経営者の決断あるのみ

もうどう考えても勝負は決したといえるでしょう。とことん幸せ軸の経営を突き詰めていく企業が社会の主役になっていくのです。それなりの時間がかかることゆえ業績軸から幸せ軸へ、この経営の舵取りを一刻も早く経営者は決断し断行していただきたいのです。弊社では人本経営実践講座などで確実にその支援をすることができます。充分に実績もあります。ぜひとも力にならせてください。

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