第1097号 得意に気づき行動すると人生は充実する
2025.8.25
職場での関係の質を向上させる指標となるエンゲージメント。ギャラップ社のエンゲージメント度合を強く堅くする要素として示した12の項目の中の3番目に「私は仕事をする上で、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている」という記載があります。
能力が発揮できている、ではなく得意なことを行えているという指摘が興味深いです。
得意とは、そのことについては苦なく行えていることです。そして、繰り返し再現できて一定の成果を挙げ続けられているということです。
何が得意か改めて考える
自分にとって、相手にとって何が得意なのか、改めて考える機会をもってみましょう。足が速いという特性があって走ることが得意であっても、じっととどまって監視をするといった仕事をしていてはその得意さは発揮できていないことになります。スピーディーに仕事をこなすことが求められる職種の方がその方の特性を活かせて得意なことを行えているという実感をもてるかもしれません。自分が、あるいは相手が何を得意としているか、気づくにはどうしたらよいでしょうか。
得意に気づく
よくいわれていることは、「言わなくても出来ている」ことは得意であるということです。
あるホテルのパートさんが、いつもフロント脇にある水槽の手入れをしていることに支配人は気づきました。そして、声掛けをしました。「〇〇さん、いつも水槽を綺麗にしてくれてありがとう。もしかしたら、もっとこんなことやあんなこともできたらというアイデアがあるのではないですか?」するとそのパートさんは「はい」と即答しました。支配人は、少しくらいお金がかかることでもサポートするので遠慮なくアイデアを出してねと伝えると、次から次へとそのパートさんは支配人が考えもつかない提案をしてきました。なるほど面白いと感じた案を採用していき、いつしかただの水槽だったその場所は、ちょっとした水族館のような施設になっていきました。そして、名物スポットになり、近所の地域住民はもとより、それ目当てで宿泊先として選択する客も増えていったのです。
何が好きなのかが答え
得意なことは、好きだから生まれてきます。そのパートさんは水の生き物の世話をすることが好きだったので水槽まわりの掃除を得意としていたわけです。筆者の最初の職業は営業でした。しかし数年で自分には営業は向かないと退職をし、人が来てくれる仕事というイメージで「士業」になることを目指しました。縁があって社労士の受験講座を企画する会社に拾われ講座担当者となりました。その会社の受験ノウハウは素晴らしいのですが、業界では3番手と今ひとつ伸び悩んでいました。良さを何とかして伝えたいと無料の講座説明会を必死に企画し展開していきました。人前で話すということは苦手でしたが、状況を打開するために懸命にプレゼンをしていました。徐々に集客に結び付き、また自らが社労士に合格したことで説得力は格段に増していきました。数年後に業界一の合格者を輩出するという達成を得ることができました。そして社労士として独立。10年間は来る仕事を拒まずこなしていましたが、遂に『人を大切にする経営=人本経営』に出会い、自分を人本社労士と称して、幸せ軸の人本経営の素晴らしさを伝えることを一心に行ってきました。早17年が経ちました。世の中の企業は圧倒的に業績軸でそれが当たり前でしたから、なかなか気づいてくれませんでしたが、それでも180社で直接指導することかでき、いい会社を増やせました。思えば自分の得意は「いいものを伝えていく」ということだったのです。人本経営の伝道、本当に苦なく行えています。その証拠がこの伝える新SVC通信をもう20年近く毎週書き続けられているという結果です。好きこそものの上手なれ、まさしくと存じます。
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