第988号 幸せを実現する実務 ~ 実践編5.業界の常識より現場の声

第988号 幸せを実現する実務 ~ 実践編5.業界の常識より現場の声

幸せを実現する実務 ~ 実践編5.業界の常識より現場の声

4)お客様との時間を大切にする取組
① 例えば、経営者と複数社員が顧客先現場に出向き、
商品やサービスがどのように有効に役立っているかを実感する時間を捻出すること
② ①の実践を重ねていくことで、提案型ではなく傾聴型の営業の重要性を社員に体感させ、
真にお客様が望んでいるものを創造できるように社員の能力(思考力、行動力)を高めていくこと

このテーマの実践には、
先月視察させていただいた香川県の徳武産業さんのベンチマークがピッタリかと思います。

現場にこそ答えがある

徳武産業は、「あゆみシューズ」という
高齢者にはなくてはならない履物を世にクリエイトしたことで、
今や一世風靡している存在です。
発売後20年間で販売累計1000万足を達成するという偉業を成し遂げています。

老人ホームの経営者から、
バリアフリーにしても高齢の施設利用者の転倒事故がなくならないことから、
十河孝男会長に「転ばない靴をつくれないか?」という相談があったことがきっかけで
「あゆみシューズ」が誕生していきますが、
世に商品が生まれるまでのご苦労は並大抵ではありませんでした。

何故転ぶのか、そのことを確認するために連日連夜、介護の現場に出向き、
高齢者の足に向き合っていきました。

気づくと2年の歳月と500人の高齢者をモニターにするまでになっていました。
試作をしては履いてもらい、また改良を加えるという試行錯誤を重ねていきました。

そして、「軽いこと・明るいこと・踵がしっかりしていること・転倒しないこと・安価であること」
というニーズが明確になりました。

いいものをつくるだけでなく売る努力をする

その後、自信をもって販売を開始しますが「あゆみシューズ」はなかなか売れませんでした。

「このシューズを求めている人が世の中にたくさんいるはずだ。
まずは履いてもらわなければ……」

そう思った十河会長は、電話営業をテレマーケティングの会社に委託します。
電話でレスポンスがあった施設にシューズを5足送り、
必要なければ着払いで送り返し、購入する場合はこの5足に限って5割引きで販売する、
という仕組みで新たな営業スタイルを実践していきます。

この売り方は功を奏し、5足とも購入するといった施設が増えていきました。
「あゆみシューズ」を履いた人たちから口コミが広がり、
その後、売上は伸び続け今日に至ります。

業界の非常識であってもお客様の声が正解

徳武産業に学ぶ実践の極意
 業界の非常識であっても、そこにお客様の切なる声が存在する限り、とことん現場に向き合うこと
 「ニーズの要約」をし、ひたむきに商品開発に取り組むこと
  そして、いいものをつくったからと慢心せず「売る努力」と「改善改良」を重ねていくこと

これらを腰を据え本気で取り組んで行くことにより、
「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者である坂本光司教授が重要だとご指摘される
「有効供給(=お客様が喉から手が出るほど欲しくなる価値)」が生み出されるという
核心的な学びをさせていただきました。

生産年齢人口(15歳から64歳)が、尋常ではない勢いで減じ続けていく日本。
戦後かつては逆にこの層が50年近く増え続け、
右肩上がり経済社会を形成し「1億総中流」という意識が芽生えました。

今は真逆の環境です。
これまでの業界の常識に頼っていては、貧して鈍していくばかりです。
この時代に求められるニーズはお客様の声以外にないのです。

十河会長は、現状維持は下り坂であるから、
時流に合わせて常に変化していくことが重要とご指摘されていました。
教訓にし実践していきましょう。(以下、次号)

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