第980号 コンサルファームの闇

第980号 コンサルファームの闇

コンサルファームの闇

これは事実です。

某中堅経営コンサルティング会社で起きていること。
経営の上層部は、「人的資本経営」というワードがバズっていることを受け、
とにかくこの言葉を使って、イベントを開催し
告知集客をしろと号令がかかっているという。

最近、本当に
「人的資本経営」というワードを前面に出したコンサルティングファームからの広告が
多くなっていると感じませんでしょうか。

その企業の現場で働いているコンサルタントは、
「いったい何を売るのか」と上層部に問うと、
「そんなもの当社の評価制度に決まっているだろう」といわれ、
適当にそれっぽくアレンジするのが仕事だとかえってきたそうです。

その会社の評価制度は、いわゆる成果主義型のもので
人的資本経営が指向する長期経営とは相反するものです。

まさかとは思いましたが、事実を突きつけられました。

これではコンサルを受けた会社がよくなるはずがありません。
その会社をよくするために傾聴してコンサルティングするのではなく、
こちらの言うことを聞けばよくなるという強制してコンサルティングをしてくるのであれば
相手にしないほうが賢明です。

流行りのワードにのって、
経営改革を進めてくる経営コンサルティング、人事コンサルティングの宣伝に
安易に乗らないよう警鐘を鳴らします。

以下、たまたま検索したあるコンサルファームのセミナーの案内です。

—–
(タイトル) 人的資本経営セミナー ~最新動向と検討のポイント~
(内  容) 企業経営において人的資本の関心が高まっています。 

~略~

本セミナーでは、上述の環境変化について解説した上で、
人的資本経営の必要性、実践ステップ、進め方(アプローチ)、
企業年金・退職金制度への取り組み視点等を、
中立的な立場から実務経験豊富なコンサルタントが解説します。
—–

あからさまです。人的資本経営という言葉でひきつけ、
売りたいのはなぜか退職金改革コンサルです。
ほとんどこのパターンです。

人的資本経営とは何かということについては、
ネットでも入手可能な情報レベルでの提供に終わり、
本題は自分たちの商品のコンサルティングをしていくという帰結になります。

どこを見極めればいいか

本当に、わが社がよくなっていく提案なのかどうか、
簡単に判断できるポイントがあります。

それは、その経営手法を用いることで、
「社員の幸せ」が今よりも明らかに増進増大すると
いの一番に訴えているかどうかです。

資本とは事業活動の元手を意味しています。
したがって人的資本とは、突き詰めれば社員のことにほかならず、
一人ひとりの社員がいかに働きがい、やりがいをもち、
その本人のもつポテンシャルを最高最大に引き出し、
引き上げているかということが命題です。

その職場に働きがい、やりがいをもつ社員の出現は、不幸な状態で可能でしょうか。
それはあり得ないことは明白でしょう。
ですから、より社員が幸せ感を醸成するように
環境づくりをしていくことが求められます。

それを実現することこそが人的資本経営の根幹であるはずです。

幸せを明確に定義する

こう切り出すと幸せの価値観は人それぞれだからと避ける向きがありますが、
もう時代はそれを許さなくなってきているのではないかとつくづく感じるのです。

わが社にとって、幸せとは何か、これについて答えを出し、
全社員が納得している状態を組織風土、企業文化にできた会社が突き抜ける時代を
迎えているのです。

そんなことは億劫だと思うのなら、
これからの時代に組織のトップ、リーダーとしては不適格です。
潔くそうしたことに意欲的な後進に身を譲ることが
自身ができる最善手といえるでしょう。

改めて当通信でも、このテーマ、「幸せの定義」について、
今後掘り下げていくことにしたいと今週号を書いていて思い留めました。

ぜひ皆様もともに考えていきましょう。

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