第975号 コンサルタントを絶対視してはダメです!

第975号 コンサルタントを絶対視してはダメです!

コンサルタントを絶対視してはダメです!

それはまだ人本経営の重要性に気づく以前のことでした。

社労士として起業して数年が経ち、そこそこ仕事が入ってくるようになりました。
某有名デザイナーの会社から労務相談がありました。
離職者が絶えない、労務トラブルが多いということで、
どうしたものかと当方に話が回ってきました。

時代はバブル経済崩壊の余震で多くの会社が業績低迷に苦しみ、
なんとか脱したいともがいている最中でした。

今でしたら、迷うことなく「幸せ軸」の人本経営の実践しか活路はないと即答し、
力強く水先案内をして差し上げますが、
当時はそうした解が見い出せておらず、
その会社の人事担当者と問題事象を一つ一つ検証し
解決策を講じていくという時間を繰り返していきました。

結局、仕事は労務問題を未然に防止できるように、
就業規則をきっちりと定めて、周知徹底していくという、
いわば対処療法で本質的な問題解決に至らない答えしか出せませんでした。

今思うと、本当にもっと力添えをしてあげることができたのにと後悔の念に苛まれますが、
その会社が労務問題で痛んでいた大きな原因は、
人事評価制度の改革にありました。

これまた某有名な経営コンサルティングファームに依頼して、
数年がかりで評価制度を刷新していました。

コンサルティングフィーは1000万円を超えたそうです。
見せていただいた豪華な革製のフォルダーには
人事制度の説明資料がおさめられており、
こと細かく職務基準書が記載されていました。
それは15センチは優にある分厚さでした。

鳴り物入りで評価制度を導入したにも関わらず、
社員の多くに新制度に対するアレルギーが発生し、
続発する労務トラブルを生み出していたのです。

コンサル会社は、制度設計は欧米企業で採用されている完璧なのもので
制度に問題があるのではなく、適切な運用ができないのは会社の問題だとして、
いわば放置をされていたようです。

その後、そのコンサル会社は、この会社に出入り禁止になったそうです。
似たような事例に遭遇した経験は一度や二度ではありません。
この人事評価制度、今でいうジョブ型の前身です。

コロナ禍で痛んでいる企業に対して、
特効性があるとコンサルティング会社やシンクタンクが異常に推しを強めているのが現下です。

かつて見た光景

完全にデジャブーです。
今また日本的経営を悪者にして、
欧米流、グローバルスタンダードという触れ込みで
ジョブ型の幻想が広がりだしています。

バブル崩壊後、リーマン後、そしてアフターコロナと3回目の波です。
基本は年功主義と終身雇用はやめて、
成果主義と実力重視の雇用をしていこうというスタンスです。

困っている企業が多いから、コンサルタントは言葉をきれいに飾って誘いますが、
「業績軸」のままでは何も変わらないことを肝に銘じてください。

コンサルタントを絶対視してはいけません。
正しく見るべきは、実際に人を大切にする人本経営を実践し
「幸せ軸」で確かな結果を残している企業です。
そうした企業がしていることこそが正解です。

浅薄な質の悪いコンサルに惑わされては禍根を残す

曰く「人を大切にする経営は、会社が上位で個人が雇われ、従属関係と終身雇用の中で、
家族のように大切に面倒を見る、人材を「資産」として考える経営である。

一方、人的資本経営は、時代が変わり終身雇用ではなくなり、
家族的でもなくなってきた中で、
人材を「資本」として考え、会社と個人が対等な関係になる経営である」

不見識すぎて開いた口が塞がらなくなってしまいました。
この方の指摘する「人を大切にする経営」はいわゆる日本的経営のことで、
人本経営のことでは全くありません。

れっきとした経営学会もすでに発足しているのに、
この定義認識はあまりに低レベルです。

人を大切にする経営、すなわち人本経営は、
人材を「本位」と位置づけセンター、ど真ん中にとらえ、
資産でなければ資本でもなく、
経営の目的そのものと考える経営です。

したり顔で迫るコンサルに、
なんちゃって「いい会社」づくりを指導されている限りでは、
いつまでたっても「業績軸」を抜け出せません。
十二分にご注意あれ。

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