第959号 企業価値の本当の意味

第959号 企業価値の本当の意味

企業価値の本当の意味

「人的投資が業績に貢献しているのではなく、
業績好調な企業だから人的投資を増やせるのではないか。
人的投資そのものが業績や株価に与える影響や因果関係を分析するのは難しい」(証券会社)
との慎重論も一部には根強い。

~以上、引用

「儲かっているから人に投資できる」
目先にしか焦点がない方からいかにも主張されそうな意見です。

実は、この問いかけは、人本経営を奨めるときにも、さんざん出てきました。

「業績がよく余裕があるから人を大切にする経営が実践できるのだ」
「人を大切にする経営を実践するためにもっと利益を」

喝破する塚越寛さん
伊那食品工業にベンチマークにいき、
同様の質問を経営者がするとどうなるか再現してみましょう。

質問者「快適な職場づくりは、利益があるからできるのでしょう?」
塚越寛さん「それは違います。バランスを取りながらも、
たえず快適な職場づくりを重ねてきた結果、
収益力があとからついてきたのです。

会社が利益を求めるのは、
「社員と周囲の人の幸せ」という究極の目的のために必要だからです。

その利益を使ってみんなが幸せになることや、
そこから納めた税金によって世の中がよくなっていくことが目的です。

利益はそこに用いられる手段であり、
利益を得ることは、目的の一歩手前にある目標に過ぎない」

このように即答が返ってきます。
今、盤石な基盤を築いている伊那食品工業ですが、1年で出来た訳ではありません。

50年以上も、幸せ軸で関わる人々を幸せにする目的を実現していくために
年輪を積み重ねてきたのです。

そのことを踏まえずに、短期的な思惑だけで「人的資本経営」を実践しても、
冒頭のような議論が出てきて、
やはりまず利益だと業績軸に埋没していくことになるでしょう。

目的が極めて重要である
繰り返し主張、指摘していますが、「何のために」という目的が重要です。

人的資本経営は企業価値を高めるために実践されるべき経営と展開されています。
企業価値とは何か、このことを明確に踏まえることが、
真に人的資本経営に成功する鍵を握っていると
ますます感じるようになってきました。

投資家が投資したくなるような魅力あることが
「企業価値」と捉えることはやめましょう。

企業価値の本当の意味
伊那食品工業の現在の経営者塚越英弘社長から昨年お聴きした言葉です。

「仕事とは価値を生んでこそ仕事といえる。
それが一番大事なこと。では価値とは何か。

それはファンづくりである。
いかにお客さんが自分たちを好きになってもらえるか、
ずっと続けて商品を購入してくれるファンにどうやったらなってくれるか、
これを考える、そういう仕事をしよう」

そして、顧客をファンとして生み出すのは、一人ひとりの社員に他なりません。
まず社員が会社の一番のファンになるように、会社づくりをしていくことです。
それが「人的資本経営」の目的であるはずです。

具体的にどう実践していけばよいのでしょうか。
これについても伊那食品工業に答えが見つかります。

働いてくれている社員を健康にしていくこと、これを実践していくことです。

かつて伊那食品工業も貧乏な時代がありました。
それでも少しでも健康になってもらいたいと
牛乳の配給や月500円のお菓子代の支給という
本当に出来ることから始めています。

塚越寛さんは、「社長が社員の健康のことを考えて行動していけば、
社員は「私たちのことを大切に思ってくれているのだ」と心からわかる」
と語られています。

健康でいるためには、長時間労働は論外であるし、
ストレスがかかるような仕事のさせ方もあり得ません。

いわんや社内にパワハラや労働紛争、
労働災害を発生させるなどということは、あってはならないことです。

そうしたことを実現していけば
自ずと見本となる人的資本が構成されてくるに違いありません。

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