第916号 数字の病気にかかっていないか~伊那食品工業視察記2021 その2

第916号 数字の病気にかかっていないか~伊那食品工業視察記2021 その2

数字の病気にかかっていないか~伊那食品工業視察記2021 その2

数字の病気

売上、売上と考え方が数字の病気なっていないか?

塚越英弘社長は、数字の病気にかかっている人が多いと
ドキッとさせられる発言をされました。

利益って何なんだ?
利益は最後に残ったもの、そうウンチである。
先代の名言を重ねられていました。

だから、伊那食品工業では数値目標はない。
何故ないか。人はだれも、明日どれくらいウンチを出すかなんて考えていない。会社も同じだから。

健康だと、毎日適切にウンチは出てくる。だから「健康」を考えることが大事。
どうしたら毎年、利益が出る健康な体質をつくれるか、ここに主をもってくる。
場当たり的、問題の対処になっていけないと聴講者に釘を刺してくれていました。

あるべき姿、目的を忘れずに考えてほしい。われわれはそう考えているんだ。
数字の病気にかかってはいけないと悟らされるお話でした。
実に考えさせられました。

塚越社長は、このように終始、帰納的に語ってくださるので、
聴講者の納得度はかなり高められるだろうという感想をもちました。
事実、ご講話が終わった後、ノートの半分近く、気づきの書き込みであふれていたのです。

会議のあり方

そのような考え方でいるから、伊那食品工業では会議、
たとえ営業会議でも数字はないと語られていました。

あの分厚いイメージのある役所の資料を引き合いに出して、
何かの政策決定の時に、あの資料の全部が使われているかと言ったら、圧倒的に使われていない。
労力をかけたにもかかわらず使われていないとするなら、何も生んでいない。
わが国が先進国で生産性が低いのはこういうところにあるのではないか。
数字が出てくると余分なことが出てくる。
だから会議で数字はいらないと明快でした。

会議は、皆がわざわざ集まる場所、それなのに数字のことで時間使うことはもったいない。
そうではなく、せっかく集まったのだから、
これから何をするのか、何をどうやっていくか、どう展開していくか、
この対話をしてこそ、意義があると語られていました。

わたしはすぐに「あっ、これはオフサイトミーティングだ」と心の中で叫んでしまいました。
伊那食品工業で、その言葉が使われているかどうかは知りえませんが、
塚越社長がおっしゃっている会議の意味合いは、予定調和型の従来会議ではなく、
発散して可能性を高めていくオフサイトミーティングそのものなのだろうと直感的に感じたのです。
それは、この後の発言で確信に変わっていきました。

仕事とは価値を生んでこそ仕事といえる。それが一番大事なこと。
では価値とは何か。それはファンづくりである。
いかにお客さんが自分たちを好きになってもらえるか、
ずっと続けて商品を購入してくれるファンにどうやったらなってくれるか、
これを考える、そういう仕事をしよう、そのための会議だという訳だからです。

やり方は変える、あり方は断固として変えない

塚越社長のご講話を拝聴していて、誰かに似ているなと思いめぐらしていましたが、
バグジーの久保華図八社長を彷彿させるものがあると気づきました。

塚越社長は、伊那食品工業の今後の経営について、
あり方は守るが、やり方は変えると断言されていました。
どう変わっていくか楽しみです。

先代が打ち立てた「さざれ石」のごとく盤石で非の打ちどころない「いい会社」に
楽しさが加わっていくのではないかと期待が持てました。(続く)

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