第914号 伊那食品工業視察記2021

第914号 伊那食品工業視察記2021

伊那食品工業視察記2021

ようやく、とうとう、ついに、まちにまった、「いい会社」ベンチマークツアーを
先週、再開することができました。
その地は伊那食品工業以外にありえないと聖地巡礼をして参りました。

改めて、「いい会社」の現場の空気感に触れ、
そこで元気いっぱいに働く社員の姿を生で見て、
思いあふれる人を大切にする経営者の言葉に触れることが、
こんなにも大切なことなのかとその価値に大いに気づかされる旅となりました。

伊那食品工業には10度目の視察となりましたが、
それが信じられないくらい新鮮な気づきが沢山ありました。
今週からたっぷりと学びをお伝えして参ります。

塚越英弘社長初講話

これまでお世話になった現特別顧問の塚越寛さんの講話は、
魂にずしんと響き心底から揺さぶられるような重厚な感覚がありました。

今回は、ご子息で後継者の塚越英弘新社長にご講話を賜りました。
それは、聴いていて明瞭にわかりやすく、
伊那食品工業の取り組みが図解されるように理解できる「ためになる」感覚をとても抱きました。
すっかりファンになってしまいました。

幸せ軸経営とは何であるか

お話の中で、繰り返し述べられていたのは、目的ということでした。

社員が幸せになることが目的であって、
そのためにどうすればいいかが会社経営の全ての出発点になっているということが、
一点の曇りもなく伊那食品工業では貫かれてきているのだと、今回、改めて理解できました。

冒頭、のっけから、
「業績が悪いと給料を上げない、という企業があるが、業績云々ではない、まず上げる。
うちは全員、毎年昇給していく。そのほうが幸せだからそうする。それが当社は当たり前。
その状態をつくり続けていくために、経営をどう考えるか、どう行動するかが決まっていく」
と圧巻の切り出しでご講話は始まりました。

コロナ禍で会社の売上は1割減になり、その状態は今年も続いているようです。
しかし、例年通り2%の昇給を実現させています。

かねてから、塚越寛顧問は、売上が3年、半分になったとしても、
びくともしない体質になっていると語られていました。
平素から確実に内部留保を確保し、まさにコロナ禍のような災厄があっても、
平然と乗り越えられるように盤石な年輪経営を実践しているとおっしゃっておられましたが、
それが、今、実現されているのです。

まさしく、永続的に幸せになるために年輪経営という考えと行動をしてきたという訳です。
ある雑誌で、コロナ禍で減じた売上を取り戻しにいこうとは考えていないということを
塚越社長は語られていました。

そこで私は、それはどういう考えから出てくるのでしょうかと尋ねてみました。
すると「我々が努力を怠った訳ではない。なるようにしかならない」というお答えが返ってきました。

コロナ禍は不可抗力、それで業績が下がったことだから、
社員にはっぱかけるようなことは筋が合わないということです。
泰然自若とした、さすが自然体経営の後継者だと唸らされました。

業績軸でない、幸せ軸経営とは、こういうことであると一刀両断するような明確な言説でした。

ノルマがないという意味

「当社にも目標はある。それは自分たちで決めている。
ノルマが課せられて人に云われてやるのではなく、自分で考えてやっていく、
どっちが楽しいかは明白でしょう。
自分で考えて決めたことだから、言い訳はしなくなるし、結果として数字が上がってきます。
そういうあり方は、何より楽しく仕事ができます。それは幸せにつながるということ。」
と塚越社長。

いちいち的を射ていて、話の脈絡がどんどんつながっていくのが、
ホンモノたる所以なのだと感心させられました。(続く)

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