第906号 私案 あるべき社労士試験

第906号 私案 あるべき社労士試験

私案 あるべき社労士試験

先週、今年の社労士試験が行われました。

試験科目の中に「労働に関する一般常識」という科目があります。
企業の人事労務に関する今日的課題を問うというのが一応の科目の立て付けです。
受験者は厚生労働白書や労働統計、
また働き方改革の動向や人事マネジメントの用語や手法などに注目して対策を立てます。

今年は、科目趣旨からは想定外の雇用助成金が集中的に出題されたようです。
以下は選択式といわれるキーワードを当てる問題の解答。

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問4 労働に関する一般常識

A ④ 35歳以上55歳未満
B ① 65歳超雇用推進助成金
C ① (公財)産業雇用安定センター
D ④ 特定求職者雇用開発助成金
E ① 40歳以上
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実務をしている社労士は合格最低ラインといわれる3問正解は容易でしょうが、
受験生にとってこれは盲点だったらしく得点が伸びず、
これで落とされる者が続出する情勢になっているといいます。

労務管理というテーマからしたら、雇用助成金なんて傍流もいいところの範囲で、
こんな問題で落とすなよと思わず声を上げてしまいました。

今の時代、人の専門家としての国家資格を問う労務問題としては、
助成金などでなく、「人を大切にする経営」について真正面から取り上げてほしかったし、
そうあるべきではないのかと残念に思いました。
厚生労働省は、社労士を企業内に幸福度を増進させる専門サポーターとして役割期待しているのでなく、
政策誘導するための助成金屋に仕立てる気なのかと腹が立ちました。

そこで、当通信では、勝手に本来あるべき社労士試験問題をつくってみました。

私案 社労士試験2022年・労務管理その他の労働に関する一般常識 選択式問題

わが国の総人口は減少に転じたばかりだが、総務省統計局『国勢調査報告』によれば、
生産年齢人口(【15歳から64歳】)が深刻に減少している。
戦後、生産年齢人口は増加を続け、1995年にピークの8726万人に到達。
それ以降は減少を続け、2018年には7545万人となり、
実に1200万人近くが、この30年に日本から消失したことになる。
今後、さらに深刻化し2500万人減り、2050年にはついに5000万人割れと予測されている。
つまり、バブル経済期をピークに70年間近くかけて、
社会の中核をなす労働者、消費者、そして後継者となる経営者が6割しかいなくなる社会情勢にある。

高度成長経済社会から漸減成長経済社会に、
ありていに言えば、右肩上がりから右肩下がりの環境下へと
わが国は完全に変貌したというのが実態である。
高度成長を謳歌し「ジャパンアズナンバーワン」と称賛されていた1970年代、
赤字の企業はおよそ30%だった。
オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックといった大きな経済環境の変化に遭遇し、
その割合はおよそ70%に悪化した。

結果、総務省「事業所・企業統計調査」、総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」によれば、
事業者数は1986年の535万者から2016年の359万者へと減少の一途をたどっている。
さらに長引くコロナ禍が、企業社会の行く末に暗雲が垂れ込め始めており、
赤字企業割合は悪化し、継続を断念し廃業していく企業はさらに増えていくことが懸念されている。

こうした抗えない社会環境の変化にあって、企業における経営人事においては、
拡大再生産により高度成長を目指すのではなく、
【持続可能性】を高め安定成長をはかることが大命題となっている。
この命題に対する明快な回答として、
業績軸から幸せ軸へ経営の中心軸をシフトチェンジする人を大切にする経営の実践が注目されている。
人を大切にする経営では、経営の目的・使命は「5人の永遠の幸せの追求と実現」におかれ、
ヒト・モノ・カネのモノ・カネは「ヒト」を幸せにするための道具や手段と考える。

最も優先するステークホルダーは【社員とその家族】におかれ、
【株主】を最下位に評価・位置づけているのが特長である。
人を大切にする経営が組織に浸透していくと、
業績といった結果に影響を及ぼす【関係の質】が究極的によくなっていくため
安定成長の実現が企業にもたらされると期待されている。

【】を空欄にして出題する想定。
結構いい問題だと思うのですが、作問ご担当者様、来年はぜひこれで、いかがでしょうか。

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