第875号 社員が新型コロナウイルスに感染したら
2021.1.12
社員が新型コロナウイルスに感染したら
新型コロナウイルス感染の第3波が収まりをみせず、首都圏では再び緊急事態宣言が発出されました。
現実に、社員やその家族に感染者が発生したときにはどうすればよいでしょうか。
■社員が新型コロナに感染したとき
社員が新型コロナウイルスに感染したことが確認された場合は、感染症法が適用され出勤することはできません。感染のリスクがなくなるまで休業してもらうことになります。復帰の目安は、発症から14日経過、症状の完全な消失から72時間の経過を目安として検討していきます。
この場合、休んでいる間は、会社には休業手当の支払いの必要がなく、健康保険の傷病手当金の対象となります。本人が有給休暇の取得を希望すれば、もちろんそれを優先してください。なお、感染した事由が業務に起因している(病院で働いていて院内感染した、海外出張中に感染した、など)、あるいは通勤時に感染したことが明らかである場合には労災保険の休業補償給付の対象となる場合があります。
■感染しても無症状で就労できる状態の場合
今回の新型コロナでは、陽性となっても無症状のケースが多数確認されています。その場合でも出勤は認められませんが、テレワークなど在宅勤務が可能であれば、その形式で就労としてもらい、通常通り給与を支払うということは可能です。また1日のうち、一部のみ在宅勤務した場合には、その部分については賃金を支払うという対応も考えられます。
■感染者が出た場合の会社の対応① 濃厚接触者の確認
社内での濃厚接触者は、「発症の2日前から1メートル以内で15分以上接触した人」を目安に特定していくことになります。濃厚接触者としてリストアップされた従業員については、症状の有無にかかわらず、最終接触日より起算して暦日14日間の自宅待機を指示することを検討していきます。この場合には、感染が疑われる症状がある場合には社会通念上労務の提供ができる健康状態にないと考えられるため、給与の支払い義務はありません。休業補償は傷病手当金で対応していきます。社内の感染予防のために、症状が出ておらず通常通り勤務が可能である濃厚接触者について自宅待機させる場合には、労基法上の休業手当の支給が必要になります。
■感染者が出た場合の会社の対応② 職場の消毒
発症者や濃厚接触者の行動歴から、手指等の接触場所の洗い出しを行い、消毒すべき場所を特定します。消毒場所としては、感染者が、最終出社日および前2日間に15分以上の使用があった場所や濃厚接触者の手指がよく触れた場所や共用場所(食堂、更衣室、トイレ等)は念入りに対策をしていきます。業者に消毒を依頼した場合の費用は会社が負担していくことになります。自治体によっては、その費用を消毒費補助金として支給しているところもあるようです。
■感染者が出た場合の会社の対応③ 対外公表
新型コロナウイルスの感染者が出たことについて、適切なタイミングと内容で対外的に公表していくことも忘れてはなりません。隠匿すると信用低下、地域住民の不安などを招きます。特に、直接の取引先などで濃厚接触者が想定されるような場合には、時間を空けずに相手方にその旨を伝えていく必要があります。テナント建物の所有者や管理者に対しても報告を行う必要があります。なお、報告の際には、感染者の個人情報については適切に保護して行うことは言うまでもありません。
■社員の家族が感染し濃厚接触者になった場合
本人が休暇を取得した場合には傷病手当金は支給の対象としないと厚労省のQ&Aで示されています。この場合に会社の判断で2週間休職とした場合には、労基法の休業手当を会社が支払う対象となる可能性がありえます。実務的には有給休暇を優先して足りなければ休業補償ということになろうかと存じます。
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