第853号 完全決着!利益が先か、人本が先か

第853号 完全決着!利益が先か、人本が先か

完全決着!利益が先か、人本が先か


人本経営のルーツ探訪シリーズで二宮尊徳を取り上げました。師の名格言「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」を改めて考えてみたいと思いいたりました。

人本経営の伝道をしていると、経営者の方から「人本の大切さは解るが、利益がなければ始まらない」という発言がよく出てきます。

この問題に決着をつけてみることにいたしましょう。

結論から先に言うと、尊徳が、経済でなく道徳を先にもってきていることから明らかですが、根本は道徳、つまりは先に人本であることが必須となります。

ある程度稼げるようになってから、体裁を人本に整えるという選択肢はありえないのです。なぜなら、どこまで利益があれば人本経営に邁進できるようになるか、など推し量ることは不可能だからです。欲は生きていくためになくてはなりませんが、本能である欲を律しないと破綻がすぐそこに現れます。強欲、物欲、貪欲、色欲など欲がつく言葉を思い浮かべれば、このことは容易に理解できます。

人本の大切さは解るだけでは無意味です。ぶれずに実践していくことでしか、その価値は得られません。ここで、それで本当の利益が出るかどうか迷うようでは、すでに人本ではないのです。人本経営を実践して利益が出ない訳ないのです。

■利益はウンチ

伊那食品工業の塚越寛さんは、このことについて一刀両断に断じています。健全健康な生活を送っていれば、便は自然に出てくるものであり、健全健康を考えずに便のことを考えるのは意味がないと明快です。

便秘になることを心配し過ぎて、精神的に不健全になったり、無理にダイエットし過ぎて便秘に悩んでしまったりというのは本末転倒です。

なんのためにこの会社を営むのか、この仕事をするのか。その答えは何でしょうか?

「儲けて自分の実入りをよくして裕福な生活がしたい」というのが答えなら、すでに不健全に陥っています。なぜならウンチのことしか頭にないということに他ならないのですから。その思いが強すぎる方は、経営者にならないでいただきたい、とはっきり申し上げたいです。このタイプは最初の動機はよくても、事業が当たり出すと急成長に走り、自制を失う経営者によくみられます。結果として破綻し、多くの社員の雇用を壊し、取引先に打撃を与え、社会の資源を無駄にしていきます。まさしく、それは尊徳がいう罪悪に他なりません。

■会社を健全健康にする人本経営

本当に世のため、人のためになるサービスや商品を世に提供しているという自負があるのなら、お客様に喜んでもらうことが仕事の目的になるはずです。そして、喜ばせるのは自分一人では限度があり、社員が自分と同じ意識で意欲的に仕事をしてもらえることが、より多くのお客様を喜ばせることにつながると考えるはずです。それであれば、社員がどうすれば日々、やりがい、いきがいをもって働いてくれるようになるかを何より大切に考え、行動していくことになるでしょう。これが社員第一主義です。

よりよい商品づくりのためには協力会社の社員の皆さんにも同様に力を発揮してもらう必要がありますから、間違っても下請けなどといったぞんざいな態度でなく、パートナーシップを発揮して良好な関係を築いていくことでしょう。

そうして丹精込めた商品やサービスに触れたお客様は、ますます自社のファンになっていってくれるはずです。もちろん、いい商品をつくったとしても黙っていては売れませんから、マーケティングや広告の効果的な手法を活用することは当然です。この努力を怠ることを尊徳は寝言と言い放っているのです。

伊那食品工業の営業は徹底しています。かんてんという素材を使って、どのような用途開発が出来るか、様々な業界に食い込んでいく活動を展開しています。そして、見込み顧客からの要望に応えられるように利益の10%と社員の1割を研究開発に投資・投入しているのです。時間はかかっても要望に応えられるような新商品が開発され、さらに新たな顧客開拓やリピーターの継続を実現していきます。これが有効供給を実現するということにほかなりません。一定の利益を有効供給を生むことに回していくと価格競争に巻き込まれない事業が成立していきます。こうして、健全に利益はウンチのように毎日出てくるようになっていくのです。

このようなプロセスを形成していく人本経営は王道です。悩んでも迷わずぶれずに進んでいくことが、自社の健全さを増進させ、健康な組織体をつくり上げてくれるのです。もう答えは明白です。

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