第830号 有事は「関係の質」より「思考の質」がより重要性を帯びる

第830号 有事は「関係の質」より「思考の質」がより重要性を帯びる

有事は「関係の質」より「思考の質」がより重要性を帯びる


コロナ騒動が収まりません。先行きが見えない状況下で、ありとあらゆるといっても過言でない情報が飛び交っています。テレビは言うに及ばずユーチューブ、ツイッターやフェイスブックなどのSNS、そして今回飛躍的に利用者が増えたZoomに至るまで、人類は瞬時に世界中の情報を共有できるツールを手にしていたことで、毎日すさまじい量の関連情報の渦に巻き込まれています。テレビの情報は9割がた悲観的なので、わが家ではなるだけ見ないようにしていますが、それでもニュースの時間は見ています。4月19日、NHKのニュースで、とうとう家族と対面で食事することも危険だと報じ始めました。そんな馬鹿な、と思い、不快になってすぐにテレビを消しました。

■自粛しても事態がよくならない

総理大臣が「ここ1、2週間が重大局面だ」と全国の学校に休校を指示したのが3月初めでした。あれからもう7週間が経過し、ここでまた「この2週間がヤマだ」と全国非常事態となりました。これでは永遠に2週間先が到来しないのではないかとさえ感じます。それにしても自粛すればするほど感染者が増えるというのはどういうことなのでしょうか。何かがおかしい。肉体的な健康ダメージでなく、精神的なダメージで免疫力が低下し、感染者が急増しているのではないかと考えるほうが無理ないのではないかと感じるのです。

■関係の質の棄損が著しい

人本経営を学んできて、人を大切にする「いい会社」が行っていることは、『関わるステークホルダーの幸福を増大させるために、関係の質をいかに高めていく努力を重ねているか』ということだと一つの結論に至りました。

今回のコロナウイルスは、感染を防止するために、いわゆる「三密」、すなわち「集まること」「近づくこと」「室内で対話すること」は御法度で、これらに対して著しい制限をかけ、それを世界中で実現させている状態です。

つまり、お客様とはおろか、取引先に対して、そして何より社員同士でも距離感を近づけること、対話の促進をすること、毎日顔を合わせていくことをさせない強要をしています。

三密は、いずれも関係の質を向上させていくためにはとても重要な要素が含まれていることは言うまでもなく、それが制限される時間が多くなればなるほど関係の質は劣化し、結果の質に重篤な事態を引き起こすことは必至です。世の中から幸福感がどんどん収縮していき、不幸な状態を感じる人がすさまじい勢いで増えていくこと意味しています。それが世界中で引き起こされているのですから事態は深刻です。

■やはり幸せの元は仕事だった

仕事が思う存分できないということも多くの人に拍車をかけます。仕事を通じて、いかに日々、人様のお役に立つこと、感謝されること、自分という人間が社会から必要とされていること、そして愛を感じていたかということが嫌というほど実感させられています。この通信で何度も指摘していますが、日本理化学工業の故大山泰弘氏がかねてより主張していた、この「人の究極の4つの幸せは仕事を通じて得られるものだ」ということの重さに改めて気づかされました。

もちろん手をこまねいているだけでなく、人類が生み出した英知に活路を見出すべく、オンラインによる三密を回避する取り組みは積極的に行われるようになりました。しかし、これには限度があることは明らかです。ないよりはましというレベルと感じます。

人間らしく幸せであるために、こんな状態をいつまでも続けられるわけがありませんし、どこかで折り合いをつけなければならないと考えます。ウイルスを根絶させることは不可能なのですから、リスクをテイクしていくように思考し、行動していくことが必要になってきています。

■有事は思考の質がより重要になってくる

平時であれば、関係の質をよくしていくことを真っ先にしていくことがセオリーですが、そこに制限がかけられしまった今、出来ることは思考の質をいかに良い状態に保ち、出来ることをする行動の質を高めていくことしかありません。

関わる皆さんが、より健全に、健康性を高めるために、よい情報を提供していくこと――当通信の役割はまさしくそこにあると認識して今後も行動してまいります。

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