第812号 企業激減時代、この先どのような会社が残っていくか

第812号 企業激減時代、この先どのような会社が残っていくか

企業激減時代、この先どのような会社が残っていくか

特集の切り出しは、例の豊田章男社長の「終身雇用を守っていくのは難しい」という発言を受けてのものですが、平均寿命が長くなり、企業の寿命が短くなるというトレンドの中で、これからの労働者は複数社、転職することを前提にキャリアアップしていくことが求められるという論旨です。

まず、企業数が減っていくことについては、確実にそうなるだろうと同意します。経済センサス等の公的資料によれば、現時点でわが国の企業数は380万といわれています。当通信でも幾度か触れてきましたが、生産年齢人口の減少をふまえると、とても現状の数を維持できるはずがないということは明白です。

全体傾向としてそうであったとしても、決して悲観的になる必要はないと考えます。長寿企業は、これからも存在し続けていくことでしょうし、人を大切にする経営を成功させていく会社は、必ずステークホルダーから必要とされ、生存していく可能性が高いと思われるからです。

大切なのは「この先、社会に求められ続ける会社になっていけるか」ということだろうと思うのです。

■どのような会社が選ばれていくか

ミレニアル世代、平成世代は、それまでの年代に比べ、社会貢献に関する意識が高い傾向にあるということが指摘されています。物資的欲求は充たされた中で育まれてきた価値観は、自己中心から調和志向での行動を選択していくようになると考えられます。また、昨今の気候変動は、今後、生きていく時間が長い世代ほど敏感に身近な問題として捉えていくことになるでしょう。ですから、自分の仕事を通じて、より社会貢献につながるという実感がもてない職場は選択肢に入らなくなってくるのです。そういう意味ではSDGsなどはひじょうに関心を引きつける格好のテーマ性があると感じます。自社、そして自分自身が成長していくことで、具体的にSDGsで掲げられている目標やゴールの達成が現実化していくということになれば、かなりモチベーションが高められていくことになるでしょう。もはや営利性に優れているだけでは、その世代の求職者から就職先として選択されなくなっていくことになり、企業としての存在価値が薄れていくのは時間の問題でしょう。

減少していくのは65歳までの生産年齢人口です。それ以降の高齢者に焦点を当てれば、わが国にはまだまだたくさんの労働力が資源として存在していることに気づきます。高齢者の経験は財産です。これを存分に活用して、いかに経営に役立てるかということに解を見出し、イキイキと高齢者を活躍させることが出来る会社もまた、確実に社会から選ばれて発展していくことでしょう。

当通信でも紹介したタニタの個人事業主化の取り組み。独立していく社員が幸福を増大させていき、立場は社外社員になれども、継続的にWin-Winの関係を構築し、彼らのモチベーションを高め続けていくことが出来る企業も、持続的可能性は非常に高くなっていくものと考えます。

伊那食品工業、未来工業に代表されるように、人を大切にする人本経営を極めた会社も、いうまでもなく、これからの時代にどのような変化があっても問題を解決し続け、その年輪を刻み続けていくことでしょう。彼らの経営の辞書には、「終身雇用ならびに年功序列限界論」という言葉は存在しえません。

ここまでみてきた「この先も社会に求め続けられる会社」と関われる会社もまた、その寿命が永らえていくに違いありません。何で関われるかはそれぞれでしょうが、やはり誠心誠意、誠実に対応していることが重要であるのには違いありません。運よく、そうした優良な企業と出会えても、そのような姿勢がない仕事をしていては、幸運はスルリと手元から滑り落ちてしまいます。

とにかく悲観的になりすぎるのは百害あって一利なしです。前へ前へと進んでいきましょう。

このコンテンツの著作権は、株式会社シェアードバリュー・コーポレーション(以下SVC)に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、SVCの許諾が必要です。SVCの許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。


サービス一覧

講座日程一覧

お問い合わせ