第791号 社長だけ頑張っても社員がやる気のない会社は潰れる

第791号 社長だけ頑張っても社員がやる気のない会社は潰れる

社長だけ頑張っても社員がやる気のない会社は潰れる

人本経営に関連する講演をさせていただいたときに割と多くいただく感想があります。

「いい会社にするために、まず利益が出せる会社にしていきたいです。」

利益が潤沢に出るような会社になったら、社員の労働環境や処遇をよくしていく余裕も出てくるので、まずは利益体質の会社にしていきたいという趣旨のようです。

しかし、これでは根本的にアプローチの順番が違います。利益はお客様からもたらされるということは間違いありません。わが社の商品やサービスに満足していただき、さらには感動までしていただけたなら、お客様は購入行動を継続してくれるようになり、たしかに収益性は高められていきます。

では、そのこと、つまり顧客満足度を高めていくのは、誰がやっているのでしょうか?

経営者である社長自らが、お客様と接する現場の第一線で奮闘し、トップセールスで成果を上げている会社は、世の中に沢山あるでしょうし、経営者としては、一番手っ取り早く売上という結果につながることは間違いありません。

■「自分だけ頑張っても社員がやる気のない会社は潰れる」

こう核心をついた語りをしてくださったのは、先月ベンチマークさせていただいた愛媛県の「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞企業、ウインテックの駄場元定生社長でした。

ものすごく意味深な言葉です。トップが頑張ってようやく仕事を取ってきても、全部自分だけで首尾貫徹できるわけではありません。特にウインテックさんは、手作業でしか出来ないような工程を自動化することが強みのモノづくり企業ですからなおさらです。設計から製造、そのプロセス上の協力会社との打ち合わせ、発注者とのすり合わせ、納品、その後のフォロー等々、様々な仕事が発生していきます。それは、社長一人でできるものではありません。

「社長はまたややこしい仕事をとってきたな」
「今のうちの設備でどうやってこんな高い要求水準に応えろっていうんだ」
「まだ仕掛っている仕事があって残業続きなのにやってられん」

こんな声が職場に蔓延していたら、受託した仕事の結果は火を見るより明らかです。社長はこう言うことでしょう――「めったに取れない案件を好条件で受託できたのに、うちの社員の連中は文句ばかり言いやがって」

ものの見事に「関係の質→思考の質→行動の質→結果の質」の悪循環サイクルが再現されていきます。だから駄場元社長は、「社員のやる気」がすべてだと言い切っておられるわけです。

同じくベンチマークさせていただいたファースト・コラボレーションの武樋泰臣社長は、「御社は仲良しクラブにならないのですか」という質問に対して、「仲良しクラブ、けっこうやないですか」と明快に答えられていました。

■社員同士が仲良くなって、やりがい・働きがいが満点なら業績に繋がらない訳がない

武樋社長は、「うちの社員は、お客さんに対して本気であることは全員の共通点となっていて、自分たち一人ひとりがお客様に対して何ができるか、そのために何でも言える環境・風土づくりを大切にしてきたから、お互いを甘やかすようなナアナアな関係になることはなく、その仲の良さがお客様満足・感動につながっているので全く問題ありません」というのです。先ほどの関係の質~結果の質は、同社の場合、最高の善循環サイクルで回っているのだと感じられました。

社員のやる気、やりがい、働きがい、ひいては生きがいが、経営にとって生命線であるということが、2社のベンチマークでも明らかになっています。それを実現する幸福度を増進させる企業風土・文化をつくることが、極めて重要な経営課題となっています。その課題を解決する役割を担い、組織に貢献していくミッションをもつ専門職がCHO=チーフ・ハピネス・オフィサーなのです。この人財を社内に養成していくことを目指して『CHO養成講座』が、今月から始まります。

会社、職場の企業風土・文化を幸福度増大を最優先に変革していきたい皆様に必ずお役に立つ内容です。
現在、これ以上の講師陣編成はありえないと思われる「人を大切にする経営」に寄与する独自のノウハウをもつ素晴らしいメンバーにご協力をいただけることになりました。
前へ前へと、これからの時代に進もうとする方のご参加をお待ちしております。

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