第784号 CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)事例

第784号 CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)事例

CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)事例

このところお伝えしていますCHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)。実際に役職としてCEOを登用し始めている会社について調べてみることにいたしました。

●キューアンドエー株式会社
2019年4月1日(月)からChief Happiness Officer(CHO)を新設したとプレスリリースを発表。
「CHO」役職を新設し、女性活躍の場をより支えると同時に、従業員ひとりひとりがハッピーに、職場がハッピーに、企業がハッピーに、を目指して従業員の幸せファースト経営に取り組んでまいります。

●株式会社スリーイーホールディングス
我々スリーイーグループは従業員が企業の財産であるということ、業績向上にはそこで働く従業員の幸福度を高めることが最重要課題であると考え、それを実現するための専門職「Chief Happiness Officer(CHO/チーフハピネスオフィサー)を配置し、そのCHOを中心とした専門チーム「Team Happiness」を発足させました。

●株式会社アラタナ
2019年2月、株式会社ZOZOの創業メンバーである山田潤氏が、アラタナの取締役CHOに、就任いたしました。CHOの理想像として、「ビジネスのことは何も語らなくていいので、メンバーのハッピーだけを考える人」であって欲しいなって思ってます。

ざっとネット検索しただけですが、上記のような事例が確認できます。トップが、社員の幸福度を高めていくことの重要性を感じて、その役割を担い実行するためのポジションを用意し始めていることがわかります。

しかし、実際どのようなことをしていけばよいのか、各社模索している様子も感じられます。ヒントになる事例がありました。

カイザーキッチン株式会社が展開する日本初のドイツ料理に特化したビアダイニング、SCHMATZ(シュマッツ)。若いドイツ人の実業家3人により2015年に赤坂でオープン後、数年で都内中心に出店舗数を増やしています。ここではCHOが重要な役割を担っているといいます。CEOであり、自らCHOの役割をこなしているというリュッテン氏は語ります。「今の私たちがあるのは、チームのメンバーに支えられてきたから。従業員みんなのおかげです。」と、多忙極まりない日々を送りながらも1人ひとりとの密なコミュニケーションを欠かさないといいます。

「従業員と雇用主の関係性はただお金だけではありません。もちろん報酬をお支払いした上で、その人をもっと幸せにする責任が会社にはあると考えています。スタッフがハッピーであればあるほど、何も言わなくてもがんばってくれるもの。そういう意味でも、チーム全員をハッピーにすることが私たちの役割であり、使命です。」

欧州でCHOが加速度的に増加し始めていると報じられていますが、まさかここまで浸透しているとは正直驚きです。具体的にCHOとして活動していることとしては、3ヶ月に1回、全社員と面談し、毎月1回は“チームイベント”と称して、アルバイト、社員の分け隔てなく参加できる食事会を開催しています。その会を主催するのもチーフハピネスオフィサーの重要な役割になっているといいます。他にも、営業成績の優れた店舗に対するご褒美ランチの席にも必ず顔を出しています。「今は、ほぼ面談が仕事といっても過言ではないほど。ますます忙しくなってきています。」とリュッテン氏。それでも、「そんなに大変だとは思いません。お店を回してくれているチームのみんなのほうがずっと大変です。」というのです。「たとえば、シェフになりたい人にはどういうステップが必要か、結婚したいという人がいれば経済面でのサポートができないかなど、彼らの人生をハッピーにするために何ができるのかを、1人ひとりに対して常に考えていきたいと思っています。」

現場との対話を繰り返し、仕事でのキャリアアップや家庭との両立など、サポーターに徹しているCHOの姿が浮かんでくるようです。紛れもなく人本経営でいうところの支援型リーダーのあり方だと感じます。人手不足時代にCHOを活躍させることは必要不可欠になってくるに違いありません。

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