第781号 60歳超の雇用継続率が、いい会社の新指標になる

第781号 60歳超の雇用継続率が、いい会社の新指標になる

60歳超の雇用継続率が、いい会社の新指標になる

未だに定年が60歳という企業が多いのが現状でしょう。法律で65歳までの雇用延長が義務化されたため、定年後も本人が希望すれば継続して雇用できるようになりました。その方の人生をとやかくいう資格はありませんが、平均寿命が80歳を超え、人生100年時代といわれるようになったご時世で、60歳で仕事をリタイアして、悠々自適な生活を選択した場合、幸せな人生が送れるのかという疑念がわきます。

もちろん経済的にゆとりがあって、あくせく働かなくとも暮らしていけるという場合もあるでしょう。しかし、仮に85歳まで生きるとしたら、そこまでの年月はあまりに長いと言わざるを得ません。

寿命は長くなりましたが、人生の質にとっては、体が不自由なく動ける、いわゆる健康寿命こそが大事だということは言うまでもありません。

それを考えたとき、働くという選択肢を捨ててしまうことは、実はとても危うい決断のような気がしてなりません。

先頃亡くなられた日本理化学工業の故大山泰弘会長は、皆働社会の実現を最期まで念じておられました。人の幸福は、人の役に立つ「働く幸せ」によって導かれるものであると、ご自身の経験をふまえての確信のお言葉でした。

実際問題、働いていると時には思うようにならず、つらい思いをしたり、苦しい体験をすることもありますが、努力して成長し、その結果、何かを成し遂げて達成感を得たとき、無上の喜びを感じます。まさしく至福という体感ですが、それは趣味で得られるレベルとは、まったく質やレベルが違うと感じます。

晩酌時のビールはいつも美味しいですが、やはり仕事で達成感を得たときのそれはいつにも増して格別に最高だと感じると言ったら、同意してくださる方は多いのではないかと存じます。

60歳になったからお役御免と仕事から抜けてしまうのは、健康寿命を短くしてしまう、言わば自殺行為に等しいのではないかとさえ感じてしまいます。

■生きる張りをなくした超高齢労働者

高齢者雇用に積極的で、とうとう90歳を超えても雇用し続けている会社がありました。
経営者は本人が働き続けたいという限り、ずっと雇用し続けていくと決めていましたが、その労働者は就労中に失禁することが多くなり、家族から「さすがにそろそろ引退させたい」と申し入れがあり、やむなく退職を認めることにしました。

すると、なんとリタイアしてわずか3か月後に、その労働者は亡くなってしまったそうです。経営者は「漏らそうがオシメでも履いて続けてもらえばよかった。そうしたら、あと3回くらいは正月を迎えさせてやることが出来ただろうに」と無念そうに口にしていました。

働くということが、いかに人に生きるエネルギーを与えていたかということがわかるエピソードでした。

法律がどうだとか、年金支給開始年齢がどうだとか、という対処的な観点は、この際おいておきます。働くことで究極の幸せが得られるということであるならば、人としての尊厳を守り、尊重という人を大切にする最高の行為は、ご本人が働きたいという限り働くことが出来る環境をつくり続け、それを実現させていくことなのではないでしょうか。

そのために持続可能性を高め続けていく経営を実践し、永続という社会的信用・信頼を得る組織をつくることが、令和時代には名経営者像になっていくものと考えています。

高齢者がいつまでも健康で元気に働き、人の役に立つ仕事をし続けていくためには、社会から必要とされ、収益を上げ続けていく会社づくりが不可欠になります。その収益の上げ方において、矛盾があるようであれば、60歳の定年を迎えたら辞めていく社員が発生していくことになります。近年では、育児休業復職率の高さがいい会社のひとつのバロメーターになってきましたが、今後は、さらに60歳到達後の雇用継続率がいい会社をはかるうえでの重要な指標になってくることでしょう。

また、未曾有の人手不足社会にあって、高齢者を生き生きさせて、健康寿命を増進させる「人事・雇用」に関するビジネスは世の中に必要とされ、確実に成長するビジネスチャンスを得るに違いありません。

これもまた人本経営に成功している企業から提供されるようになることは、容易に予想できるところです。やはり、人本の未来はバラ色といえそうです。

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