第775号 空前の売り手市場が生み出す勘違い若者にどう対応するか

第775号 空前の売り手市場が生み出す勘違い若者にどう対応するか

空前の売り手市場が生み出す勘違い若者にどう対応するか

先月、日経新聞に掲載されていた記事にこんな見出しが躍っていました。人本経営を目指す企業にとって考えさせられる格好のテーマであり、ご紹介するたびに反響を得ているので、今週号ではこれを取り上げてみることにいたしました。

記事では、早々と大手航空会社など6社の内定を得た今春卒業予定の女子学生(22)が紹介されていました。この学生は、内定先は今のベストと満足しているにもかかわらず転職サイトに登録し、次に働きたい職場を探しているといいます。両親は「入社3年は頑張って。」と助言していますが、「3年は我慢なんて古い。自分がもっと活躍できる会社が見つかれば転職するつもり。」と語っているそうです。

リクルートワークス研究所によれば、2019年春卒業予定の大学生の求人倍率は1.88倍と7年連続で上昇し、学生優位の空前の売り手市場状況が続いていると報じています。

平成世代の若者の価値観が、物欲よりも幸せ軸に置かれているので、人本経営を目指す企業には追い風である、と以前紹介させていただきました。この感覚は、今もなお実感しているところですが、この「売り手市場」がせっかくの平成世代の良さを活かせない状況に陥らせ始めているようです。

■活躍とはいったい何なのか

世間的には優良企業とされているであろう6社から評価をされ、三顧の礼で迎え入れられようとしているのに、「もっともっと」と欲しがるこの若者をみて正直、人間の哀れさを感じずにはいられません。

欲というのは、真に恐ろしいものだと考えさせられます。

この学生がいうところの「活躍」とはいったい何なのか、問いたくなります。推測でしかありませんが、未だ働いていない段階から求めているので、今現在の自分の能力がさらに活かせそうな職場とか、内定したところよりも快適に働くことができそう、あるいは、さらに好待遇で処遇してくれそうな条件を提示してくれる会社、というイメージをもたざるを得ません。

活躍できたという実感は、社会や人の役に立つことができて、自分という存在感が高められ、周りから心からの称賛や感謝があったときの達成感によって得られるものである、といって異論を挟む経営者はまずいないのではないかと存じます。

つまり、自らが成長していかない限り、活躍する状態は決して訪れないのです。そのことを伝えようと、「石のうえにも3年」と両親は諭そうとしたのでしょうが、聞く耳すらもっていないようです。

■選んでいるのは自分だと気づいたときに活躍ができる

少し前に「自分探し」ということがよく言われていた時期がありました。自分の現状に満足できず、本来の自分の性格、人生の目的など、納得できるものを探し求めることであるといわれていました。結局、そんな自分は、現実に起きる様々な出来事や問題を自らの考えと行動により克服する努力をした先にしかないという、ごく当たり前な結論に収斂されていきました。

この女子学生も、いつか気づく時がくるのでしょう。活躍の場は与えられるものではなく、自らの選択と行動によって得られるものだと。

ここで、昨年、人本経営のレジェンドである伊那食品工業にベンチマークに伺ったときの学びが再びよみがえります。

■今こそ学び直そう伊那食品工業の凄さ

伊那食品工業では、2018年度の新卒採用にエントリーが1200人あり、500人の面接者の中から10数人の採用を実現したとのことです。視察時、丸山勝治取締役はこう語られていました。

「本当の第一志望は優良大企業だった若者は多いと思う。そういう子がうちにもいる。そんな彼ら彼女らには『勝負は会社に入ってからだよ』と語りかけるんだ。」

「自分を採用しなかった会社を、自らが切り拓いて努力して幸せになって見返してやろう。そのためのサポートは決して惜しまないよ。」というメッセージを感じました。同社に入社したことで、確実に一歩一歩幸せな人生を歩んでいくことになるであろう若者たちは、実際に日々幸福感をかみしめ、立派な社会人になっていくことだろうと感じられました。

縁があって、今日日の若者を受け入れることになったら、このメッセージを入社時に欠かさず投げかけて、受け入れる以上、何が何でもわが社で働くことを通して幸せな人生となるように経営陣は覚悟をもって人本経営を愚直に実践していってもらいたいと切に願うのです。

◎東京講座・・・2019年4月24日(水)開講
◎大阪講座・・・2019年4月27日(土)開講
これまで東京・大阪・四国・島根で開催し、参加企業は延べ96社、参加者は140名となりました。講座は10か月の長丁場ですが、昨年度の受講生も期の中盤からみるみる良い状態になっていくのがわかりました。
人本経営を極めて「いい会社」をつくりたい――その願い、想いは必ず叶えられます。
これまでの揺るぎない実績をもとに、自信をもって2019年度生(東京6期/大阪5期)をお迎えいたします。

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