第763号 支援型リーダーシップの発揮のために

第763号 支援型リーダーシップの発揮のために

支援型リーダーシップの発揮のために

支援型リーダーシップが人本経営の実現に欠かせない重要なキーファクターであると指摘してきました。普段何気なく使っているリーダーシップという言葉、これの再定義をしていくことが大切ではないかと感じ始めています。

人がリーダーシップという言葉を使う時に、どのような意味合いで用いているのでしょうか。

統率力、導く、困難にへこたれない、信念をもっている、見本・手本となる、などでしょうか。

これまでの感覚では、「強い」というイメージが強そうです。その最たる姿がカリスマという表現でしょう。「俺についてこい」という感覚です。しかし、それはボスの姿です。

人本経営ではボスは要りません。リーダーが成否、成果のすべてを負うというスタイルではなくなるからです。全員を主人公にしていくことこそが、支援型リーダーに求められる役割となります。つまりは、メンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮できるように実現していくのがテーマになるのです。

関係の質が思考の質を高め、行動の質をよくして、最大限のパフォーマンスという結果の質を得る成功の循環モデルを現実化するために支援型リーダーシップは発揮されることとなります。

そうすると支援型リーダーシップとはどう定義されることになるでしょうか。

■支援型リーダーシップとは

場づくりができる、対話力がある、気づかせる、任せる、待つことができる、といった「影響力」が最も重要な要素になってきます。

こうした感覚があると支援型リーダーという存在感が増すことになるでしょう。

■支援型リーダーシップは全員が発揮するものという共通認識をはかる

リーダーシップというと、上が下に行使するものということが、これまでの支配的な感覚ですが、そうではなく、メンバーの何気ない一言や行動で周りのメンバーの気持ちを動かしたり、行動の変化を起こしたりすることも十分にリーダーシップの発揮といえます。このように、周りに影響を与えることが特に支援型リーダーシップでは重要で、一人ひとりに影響力があると捉えていきます。その共通認識があることが、一人ひとりが主役であるというマインドをもつことにつながっていきます。

「自分はこう思っているけど言っても仕方がない」とか、「言わないで従っておく方が楽だ」という感情をもつメンバーが出ないように、何でも言える場づくり、土壌、企業文化を培っていくことが支援型リーダーシップを大いに発揮させていくことになります。

そのためには、相手の意見を自分の主観で切り捨てていかない態度を全員がしていくことでしょう。特にリーダーの役割を担っている立場の人間にとって、これはとても重要なスタンスとなります。

何でも言える環境をつくるために、自分たちが大切にしていく「あり方」を皆がしっかりと共有出来ている状態が求められます。それが「経営理念」ということになります。自分たちらしさです。

ここはやはり根源的に重要です。判断に迷ったときに立ち返る場所です。これが明確になっていればいるほど、メンバーの支援型リーダーシップは活発に発揮されるようになり、より質の高いコミュニケーションが実現し、それが関係の質を大いに高めてくれる要因となっていきます。

長野県にある岩の湯の朝礼では、前日に実際に起きた出来事に対して振り返りミーティングをしています。それが岩の湯らしかったのかどうか、先輩・後輩を超えた健全な批判精神を発揮しながら、理想とする自分たちに近づくための「自己検証」を繰り返し実践しているのです。まさしく支援型リーダーシップを全員が発揮する場づくりが実現されていました。

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