第759号 GPTWの最新提言を検証する⑤ 全員型リーダー

第759号 GPTWの最新提言を検証する⑤ 全員型リーダー

GPTWの最新提言を検証する⑤ 全員型リーダー

GPTWの最新レポートを検証してきました。書籍の中で最終章を飾っているのは、これからのリーダー像についてです。

「どこの従業員も、自分が働いている企業が嫌いというより、上司が嫌いだ。従業員、特に優秀な人材は会社が気に入って就職し、上司が嫌で辞めていく。」と言及し、リーダーシップには以下の5段階のレベルがあるとしています。

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1.意識の低いリーダー

「メンバーを懸命に人生を送っている生身の「人間」として見ていないので、従業員はやる気をなくし、それが生産性やチームワーク、離職率に悪い影響を及ぼす。意識の低いリーダーを放置していては、(特に優秀な層の)離職率が上がり、長期的に見て、企業の業績に悪影響が及ぶ。」

2.行き当たりばったりのリーダー

「自分の行動や怠慢が周りの人たちに及ぼす影響に無頓着だ。愛想の良し悪しに波があり、自己中心的。えこひいきが多く、部下にやるべきことを最後までやらせたり、自分の部下やチームを擁護したりすることが出来ない。」

3.取引・交換的なリーダー

「悪い態度を取ることはなく、仕事もできる。業績目標を達成したりすることばかりに集中し、目指している方向は正しいが、仕事やコミュニケーションのスタイルがまだ一貫しておらず、メンバーが自主性や意欲を持つのに必要な個人的つながりを築こうとまではしない。方針や変更の多くが、上司命令として下される。」

4.良いリーダー

「良い資質を備えているものの、ゴールに到達するのは、チームではなく、最終的に自分の責任と考えているため、「全員型リーダー」の状態には達していない。上司としての自分のエゴを捨て去り、「周りの人が輝くために働く」ことを自分の利益と考えていくことでレベルアップが望める。」

5.全員型リーダー

「陰でリーダーシップを取り、部下が最善を尽くせるように心を配る。地位に関わらず誰と接する時にでも尊厳を忘れない。口先だけでなく実践している。誠実で、倫理的で、約束を守る。細かいところまで管理しようとしない。部下の自律的な行動や、フィードバックや意思決定への意見を歓迎する。」

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良いリーダーと全員型リーダーには明確なスタンスの差が感じられます。メンバーを信頼して各メンバーが最大のパフォーマンスを発揮して、チームとして成果を達成していくのが全員型リーダーということでしょう。強いリーダーシップがあっても一人で背負って成し遂げようとしているのは良いリーダー止まりになるということです。

先日、居酒屋「とりのごんすけ」を経営するライト・ライズの寺本幸司社長にお会いしました。平成世代を中心に、まさしく「オール働きがいのある会社」を現在では見事に展開していますが、ある時期までは「業績が良いのも悪いのも全部、自分のせいだと思っていた時期があった。」と語られていました。店の経営がピンチになったときに、休みに出てきたメンバーから「何かすることないですか?」と言われて、「自分一人が会社をやっているのではない」と気づいたそうです。

それからは、「こんな会社にしていきたいのだけれど、どうだろう?」と理想を示し、その実現に向けて一緒にいい会社をつくりたいと発信していくようになったそうです。「自分が必要とされているか」「自分が貢献できているか」「達成感を得ているか」、この3つに対する満足感をメンバーが得ているか徹底して気にかけて行動しているということでした。全員の成長で会社も発展して行くようになった現在、経営者として孤独ではなくなり、幸せを感じているとのことでした。

これは、まさしく実在する「全員型リーダー」の姿といえるでしょう。

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