第747号 人本経営、真の課題は上司革命

第747号 人本経営、真の課題は上司革命

人本経営、真の課題は上司革命

最近、諸外国で幸せ軸の経営に関心が高くなっているということをよく聞くようになってきましたし、実際、弊社にも関連セミナーの依頼がありました。

■「従業員の幸せ第一」経営が仏で拡大

記事では、CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)クラブが『3年前のわずか3人から、昨年末には150人と2年で50倍に増えています。CHOは、まさに「幸福経営」を推進する中心人物です。』と紹介されています。そしてクラブの登録者は、『人事部門とCSR(企業の社会的責任)部門が、最も多く、それに広報部門、オフィスマネジメント部門が続きます。』とあります。CHOは経営者というフォーカスより、リーダー層のイメージを強く持ちます。

■人本風土形成に決定的に重要になる上司力

最近、人本経営の指導をしていて感じることは、人本の重要性に気づき出した経営者は増えてきたものの、肝心の現場の上司が相変わらず支配的で、社員の幸せをつぶしているケースがまだまだ多いということです。異常に増え続けている職場でのハラスメントトラブル事案がそれを証明しています。

厚生労働省が公表している個別労働紛争事案の集計によれば、かつて圧倒的第一位だった「解雇」事案を凌駕して、現在は「いじめ・嫌がらせ」のいわゆる「ハラスメント」事案が急増し、6年連続第1位となっています(下図参照)。幸せ軸に親和性が高い平成世代が、大学新卒として社会に登場し始めたのとほぼ時を同じくして増加しているのです。それを象徴するようなカレッジスポーツでの出来事を以前、当通信で紹介しましたが、似たような事案が本当に増えてきています。

いかに経営者が人を大切にする経営を実現したいと声高にしても、現場を預かる上司やリーダーが面従腹背で変わらなければ、到底「いい会社」は実現していきません。最近、「いい会社」を目指そうとしている様々な企業で社員意識調査を行う機会が増えていますが、上司に対する不信の声は根強く、とても重要で、克服していかなければならない課題になっているという実感をもっています。自由コメントでは、社員たちから「上司は部下の評価に半年かかるが、部下は上司を3日で評価する」「上司の考えが分からない」「上司の言動に違和感を感じることがある」など切実な意見の吐露が続いています。

■上司革命が求められている

この会社に入って本当に幸せな人生だったと職業人生の幕を閉じる社員をたくさん輩出していくことが人本経営者として実現していくべきビジョンです。それには、業績軸から幸せ軸へ、経営者として本気で行動していくことが求められます。理念経営、理念採用と続く人本経営のセオリーを実現していく努力を重ねることにつきますが、実はいちばん肝要な課題は、人本経営を推進する中心人物にふさわしい人材の登用や育成なのではないかと感じています。

これまでにも、人本経営の指導を始めたものの、右腕、左腕になっているベテラン上司の協力不一致で「いい会社」づくりが頓挫した事例は現実に発生しています。

逆に、経営者の補佐役の上司、リーダーが幸せ軸へ共感共鳴して、確実に前進している会社はとても多いのです。

経営者が私利私欲を捨てて、社員とその家族の幸せを叶えることを第一に考えて行動することを大前提として、これからの「いい会社」づくりの重要な課題は「上司革命」になってきていると最近痛感し始めています。理念採用と同じで、人本経営で実現していこうとする理念に共感共鳴できない上司、リーダーはその任に当たらせるべきではないのです。決して三行半を突きつけよと言っているのではありません。支援型リーダーシップを実践できるには向き不向きがあるので、適性を見極めて適材適所を実現していくことだといいたいのです。上司革命については今後も当通信で折に触れて発信していきたいと存じます。

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