第741号 職場の健康・健全性を増進させるためのリストⅢ

第741号 職場の健康・健全性を増進させるためのリストⅢ

職場の健康・健全性を増進させるためのリストⅢ

引き続き、職場の健康・健全性を増進させるためのリストの解説をしていきます。

[プレッシャーを感じることなく、落ち着いて仕事ができている]

役職呼称をやめて‘さん’づけで上長を呼ぶようにしたり、ノルマがないマネジメントをしたりしている事例が、人本経営に成功している企業ではよく見受けられます。威圧的な態度で相手に行動を求めていては、いつまでたっても相手の自主性は発揮されてきません。社員が自律し主体的に仕事をしていくことで成長は図れますし、その総和こそが組織としての伸びしろに他なりません。短期的な視点ですぐに結果を求めるのではなく、熟成していくように人が育つ環境をつくっていくことが重要です。数値目標を設定することは問題ありませんが、ノルマを課していくやり方は、短期的な結果を求めて、目的と手段を履き違えるリスクが高くなってしまいます。落ち着いて仕事ができる「安心感」が風土として根差すようにリーダーは実践していきたいものです。

[人にやさしく仕事に厳しく、をモットーにしている]

人本経営を推し進めていくと、起きやすいエラーがあります。それは、「やさしさ」と「あまさ」を履き違えることです。人を大切にするということは、決して人を甘やかすということではありません。職場内の人間関係がナアナアになって、いわゆる「仲良しクラブ」状態になってはいけません。その状態は決して健全とはいえません。ミスや失敗を恐れずチャレンジしていくことは、結果として飛躍的な成長につながることも多く奨励できるところです。しかし、チャレンジのないミスや失敗に寛容になっているとしたら、確実にお客様に迷惑をかける行為につながっていきます。これではいけません。昨日よりも今日、前進しているという実感を持てているかを一日の終わりに確認していきましょう。そして、昨年よりも今年、出来るようになっていることが確実に増えていると確認していきましょう。向上心を絶対に忘れずに、相手に対する思いやりの心をもって接していく、これが人本経営のリーダーの心構えです。

48年増収増益を実現した伊那食品工業でも、言葉でいうのは簡単ですが、毎年毎年ベスト記録を更新し続けていくことは並大抵な努力では到底できなかったであろうと想像できます。彼らの社是には、「いい会社をつくりましょう~たくましく、そして、やさしく」とあります。「やさしく」の前に「たくましく」あれとしているのです。肝に銘じていきましょう。

[メンバーの家庭の事情・都合を考慮している]

幸せ軸の人本経営。幸せの源泉は、家庭円満であることに尽きます。家庭で幸せを感じていてこそ、仕事に精一杯打ち込むこともできようというものです。喜怒哀楽は人生ですから当然発生していきます。家族もまたそうです。ですから、メンバーの家庭事情が今どうなっているか、ということにリーダーは細心の注意を払う必要があります。そして、拠所ない事情が発生しているときは、仕事の都合よりも家庭の事情を優先していいという風土を醸成していきましょう。

子供の小学校の入学式には社員に特別休暇を与える会社や、子供が学芸会の芝居で重要な役を任されたと知ったら有給休暇を取るようにリーダーが指示をするような職場があります。そうした会社や職場の経営者やリーダーはこう語ります。「そのようにして大切な家族とのメモリアルな時間を共有してきた翌日の社員のモチベーションは計り知れないほどに高くなっている」と。子供の成長ほど幸せを実感できる場面もないでしょう。そのことに対して十分な配慮をしてくれていると感じたら、精一杯いい仕事をして会社に返そうとするのは、人として当然の帰結かもしれません。業績軸ではこうした当たり前のことがないがしろにされてしまったのです。ぜひとも家庭の事情・都合に対する十分な配慮をしていきましょう。

[毎月残業が30時間オーバーするメンバーはいない]

人本経営をかなり形にしてきた会社でも、相変わらず残業が多く、社員が長時間労働をしているという事例が散見されます。会社の状態がよくなるので受注が増え、それに懸命に対応しようと社員たちが頑張ることでそうした状態が発生しているようです。しかし、この状態を放置しているようでは、経営者として覚悟が足りません。なぜ増員しないのでしょうか。募集をかけても、昨今の人手不足常態化でなかなか人員が補強できない、ということでしょうか。残業させた場合の手当ては、結局売価に反映され、お客様に負担をかけるので「残業は悪だ」とした未来工業。卓見だといえるでしょう。残業なしで持続可能な経営状態にしていくことが、これからの経営者の腕の見せ所です。必要性が生じたとしても、残業は月30時間以内で事業を回すことを絶対条件としてほしいのです。(以下、次号)

このコンテンツの著作権は、株式会社シェアードバリュー・コーポレーション(以下SVC)に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、SVCの許諾が必要です。SVCの許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。


サービス一覧

講座日程一覧

お問い合わせ