第725号 四国でいちばん大切にしたい会社 株式会社シケン

第725号 四国でいちばん大切にしたい会社 株式会社シケン

四国でいちばん大切にしたい会社 株式会社シケン

先週、第7回「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」の表彰式が高松で行われました。毎年、四国地域で人を大切にする人本経営を体現している会社の発掘に貢献してきた同顕彰事業ですが、本年も素晴らしい会社が光を当てられました。

■四国経済産業局長賞 株式会社シケン

本通信でも、「生産年齢人口の減少が多くの業種・業界で労働者不足を招いている」とたびたび報告してきましたが、歯科技工士の世界はそれが半端ありません。

■歯科技工士学校の入学者数1000名割れ

2017年5月13日、日本歯科技工所協会創立50周年記念大会で全国歯科技工士教育協議会・尾崎順男会長は次のようなスピーチをされています。

「残念なことは、全国52の歯科技工士学校の努力にもかかわらず、今春の入学者が1000名を切る927名となり、わずか20年ほどの間に3分の1に激減したことである。当然ながら卒業生も激減し、今年の卒業生は1010名となっている。平成10年には3000名を超えていたわけで、恐ろしいほどの減少傾向と言わざるを得ない。求人倍率は平成7年の3倍から平成28年には21倍となっている。ただし、これは求人数が増加しているにもかかわらず卒業生が減少している結果であって、このままでは顕著な歯科技工士不足が避けられず、対策が急務となっている。」

なんと歯科技工士の成り手が3分の1に激減し、有効求人倍率が21倍という仰天の状況になっているのです。ここまで人手不足状況がひっ迫している業界もそうは多くないでしょう。こうした状況下にあって株式会社シケンでは、毎年20~30人の将来性ある歯科技工士を採用し続けているのです。2018年春はなんと北海道から九州まで40人もの若者を徳島の企業が雇用創出することになるということです。

歯科技工士の供給力を安定させることが課題だと語る島隆寛社長。世の中は高齢化が進展し、歯科技工のニーズはこれからますます社会的に重要度が増します。そうした中で徳島の一企業が、社会へ歯科技工士を安定的に供給する企業努力をしていることはまさしく「大切にしたい会社」そのものであるといえるでしょう。

世の中では多様性、ダイバーシティ経営が注目されていますが、深刻化する歯科技工士不足を補うためにシケンでは、そんなことはとうに当たり前に実現してきました。

■ダイバーシティの実現は必然の課題として成し遂げてきた

視察時に技工士の皆さんが働く現場をみて、本当に若い人が多く女性も多いと感じました。実際、シケンの歯科技工士の半数は女性が担っているとのことです。また、新卒は7割を超えるまでになったそうです。そして、社歴も重ね伴って技工士の年齢も高齢化していますが、定年後も再雇用し続けています。本人が希望せずに定年退職したのはこれまで1名だけだそうです。さらには、歯科技工士という国家資格を有していれば、障がい者であっても全く問題ないので待遇面での差はつけず、これまで聴覚障がい者を中心に多くの障がい者を雇用してきました。現在、同社の障がい者雇用率は3%で、うち重度障がい者が7割も存在しているということです。

■歯科技工、個人事業から企業体への脱却

高齢社会の到来で歯科技工はますます社会になくてはならない事業となっています。しかし、成り手が無くなっては国の健康に大きな影響が及ぶということで、シケンでは企業体としての歯科技工業を追求し、強みを活かす「共育ち」を理念の根底に置いています。この理念が、社員に対しては家庭と仕事を両立できる安心感を実現し、仕入れ業者には1年に1度訪問して経営サポートを行い、歯科医院には歯科医師・スタッフ向けセミナーを開催するなど人を大切にする経営が息づいていました。島社長は全国に展開する事業所を訪ね、全国4会場で理念研修会を開催し、自社が大切にしていること、思いを全社員と共有する対話の場づくりにも余念がありません。

際立った社会性があり、四国の地が誇るべき企業であると感じます。ぜひ世のため、人のため、これからも変わらぬ奮起を期待したいものです。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

このコンテンツの著作権は、株式会社シェアードバリュー・コーポレーション(以下SVC)に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、SVCの許諾が必要です。SVCの許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。


サービス一覧

講座日程一覧

お問い合わせ