第705号 内部留保に課税?!希望の党公約に物申す

第705号 内部留保に課税?!希望の党公約に物申す

内部留保に課税?!希望の党公約に物申す

当通信では、政治の話題はほとんど取り上げていませんが、さすがに看過できないので今週号は政治のネタとなります。

大義なき解散という幕開けから、希望の党の出現、そして民進党空中分解という、まさしくマサカという展開を見せている衆議院総選挙2017。

小池百合子都知事率いる希望の党が台風の目となっています。「原発ゼロ」、「消費税凍結」と自民党との明確な争点となりえる政策を掲げ、世の中がよりよくなる選択ができるかと思いきや、希望の党の公約要旨が発表されて愕然としてしまいました。

「2019年10月に予定されている10%への消費税引き上げは凍結する。」とぶち上げた後に、
「消費増税の代替財源として、約300兆円もの大企業の内部留保への課税を検討する。」と続いていたからです。

内部留保に課税?!

これは二重課税で論外です。到底受け入れられません。

努力をして収益を上げ、きちんと税金を支払ったうえで、将来の持続可能性を高めるために留保している資金にさらに税金を掛けるというのです。こんな非道な政策がまかり通っては、この国に希望はありません。

日本全国の「人を大切にする人本経営」に成功している企業をこれまで視察し続けてきました。業績は結果だとわきまえ、とことん社員とその家族、そして取引先や仕入れ先を大切にして、他社にはない製品やサービスをプロダクトして、顧客に感動を与え支持されている優良企業群です。

まだ少数派ではありますが、それらの企業では正社員比率が高く、離職率は限りなくゼロの状態を続け、女性や高齢者、障がい者が活き活きと働いているケースが非常に多いのです。すでに「働き方改革」など朝飯前に実現しているといって過言ではありません。

そして、売上高経常利益率もずっと5%以上を続け、自己資本比率80%以上という確かな結果を出し続けているケースが少なくありません。当然、高額納税企業ばかりで、地域活性化にも多大なる貢献をしています。

■内部留保は持続可能性を高める人本経営永続のための担保

ある会社は、リーマンショックのような想定外の事態が起きて、もしも売上げがゼロになっても、3年間は現状の給料を社員に支払い続けることが出来るだけの内部留保ができたと語り、それがあるから目先の利益ではなく、さらにステークホルダーを幸せにしていく経営に打ち込める、と経営者は笑顔で話してくれました。もちろん世間相場以上の給与で社員を処遇していますし、経営者自身、報酬は社会通念上妥当な水準で経営をしています。

並々ならぬ尽力によりステークホルダーの幸せを徹底的に追求して、社会から選ばれ必要とされる会社となり、結果として好業績を達成し、1円もケチらずに納税した結果、残ったのが内部留保です。人本経営成功企業にとって、将来にむけた持続可能性を高めるための拠り所といって差し支えないでしょう。

仮にこの政策が実現されても、地域に根差した人本経営成功企業は、さすがにタックスヘイブンに本拠を移すといった行動に出ることはまずないでしょうが、相当に意気消沈してしまうことでしょう。

希望の党の政策提言は対象を一応「大企業」としているので、即、これら人本経営に成功している中小企業に及ぶのではないと思われますが、やがて、これらの日本にとって大切にすべき会社に悪影響を及ぼすとすれば世紀の愚策といわざるを得ません。まともに汗して、しっかりと生きている国民がモラルハザードを起こすような政策を提言する政党にとても政権を託すことはできません。

その他の希望の党の政策については、期待感はあるので、この内部留保への課税については絶対に撤回を求めたいと当通信は声を大にします。撤回しないかぎり、確実に地方、地域で頑張っている中小優良企業の票は希望の党には集まらないと断言できます。

小池百合子さん、ぜひ真剣にご一考願いたい。

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