幸せ軸経営を実現する7つの実務

幸せ軸経営を実現する7つの実務

生産年齢人口が、尋常ではない減少を続ける真っ只中にある日本で企業活動をゴーイングコンサーンしていくために、ステークホルダーと最良最高の「関係の質」=幸せを実現するカンパニーになることはマストの経営課題になってきました。業績軸から幸せ軸へ現場の経営人事マネジメントをトップ自らが率先垂範し総務人事部が一体となって変革していくことが増々求められています。幸せ軸の人本経営指導歴15年に至り、人本社労士として「どうすればそうなれるか」という実務をこの間、考案構築し続けてきました。本号ではこれを実現していけば人本経営が花開く7つの実務についてご案内します。

1) 労働者、業者の健康の増進増大

幸せの大前提は健康にあることは疑いようがありません。日々職場で働いていて、社員、取引先の社員、そしてお客様が健康になっていくことをイメージして仕事のあり方をデザインしてください。具体的には以下の実務の実行です。

  1. このために長時間労働状態を放置せず原則8時間で昨年よりも事業が成長できる経営計画を練ること
  2. パワハラや下請けいじめのような不健全な事態が発生しないよう社員の人格教育をはかり、優良な人間力形成を育み、利他の精神に優れた人財を養成し続けること

③社員食堂の整備など健康面に気を使った福利厚生を行うこと(出来るところから)

2) 年齢の15倍の年収を支払うよう賃金体系を整えること

生活を安定させるためには、報酬のある程度以上の支払いが実現されていくことは幸せ感醸成の必須条件といえるでしょう。今実現できていなくても、5年後には叶えられるよう全社員を巻き込んで事業計画を根本的に考えてほしいのです。夢がもてれば行動は変わっていくのです。具体的な実務は以下のとおりです。

  1. その状態を実現するためには、どのような事業構造が必要であるか真摯に向き合い、全社員が参加型の対話をして経営計画を練ること
  2. 業績云々ではなく、必ず毎年全員の昇給を実現させていく。そのために急成長を志向するのではなく身の丈で確実に安定成長をしていく年輪経営の実現を企図すること
  3. 利益計画(一定の割合を内部留保として留め、1割以上は研究開発といった未来投資を行い、残利益を昇給原資にあてる)を立案し、実践行動していくこと

3)支援型リーダーシップの醸成

右肩下がりの経済環境の中にあっては、一人のカリスマが「オレについてこい」と支配型リーダーシップを発揮してどうにかなる時代ではありません。むしろそれで業績軸に向かい破綻する企業のニュースが後を絶たないことは承知のとおりです。全員が自分のもてる能力を最大限に発揮できるよう一人ひとりのやる気を引き出す支援型リーダーシップの醸成がとても重要です。具体的には以下の実務の実践です。

  1. ボスマネジメントの風習は一掃し、現場に支援型リーダーを配置していくこと
  2. 全社員が支援型リーダーシップを身につけられるように風土改革をはかること
  3. 仕事の都合より家庭の事情を優先していいことを宣言し、育児や介護と仕事を両立させること。また子の入学式や運動会の行事など、家庭円満の幸せを実感できる時間に有給休暇が取得できるよう保障すること。これらの実践により、お互い様、おかげ様の企業文化を育んでいくこと

4)お客様との時間を大切にする取り組み
お客様の困りごとを発見し解決して差し上げる、このことはこれからも変わらぬ企業組織が果たさなければならない命題です。最先端の現場にこそその正解があります。よってその時間を捻出することにも力を注いでいきましょう。具体的には以下の実務の実践です。

  1. 例えば、経営者と複数社員が顧客先現場に出向き、商品やサービスがどのように有効に役立っているかを実感する時間を捻出すること
  2. ①の実践を重ねていくことで、提案型ではなく傾聴型の営業の重要性を社員に体感させ、真にお客様が望んでいるものを創造できるように社員の能力(思考力・行動力)を高めていくこと

5)社員同士のオフサイト交流の場づくり
タテだけでなくヨコの繋がりを促進させるオフサイトミーティングの対話の場づくりがどれだけできるか、これもとても重要なテーマです。それを実現していくのはスポンサーシップとされ支援型リーダーの最大の役割となります。具体的に実務は以下のとおりです。

  1. 職務を離れて「みんなでやる」機会を創出し続けていくこと朝の清掃活動やお仕着せでない社員旅行の定期開催、部署間を越えた社員同士が疑似家族になり交流する仕組み(ブラザーシスター制度など)、また同好会的なクラブ活動など社内イベントを丁寧に企画して実践していきましょう。
  2. オフサイトミーティングを社内会議のスタンダードにしていくこと

6)幸せ軸の価値観に共感共鳴してくれる人の輪の拡大
幸せ軸の経営を志向したのなら、そのことに共感共鳴してくださるステークホルダーが増え続けているのかどうか、これも極めて重要なバロメータになります。特に新規採用する社員とお客様が幸せ軸で増えているのかどうか確認をしていきましょう。していただきたい実務は次の通りです。

  1. 理念採用を実践し「幸せ軸」の人本経営に共感共鳴する新人を採用していくこと
  2. 新規顧客獲得は口コミで広がっているかを常に意識し、どうすればさらに口コミが拡散できるか思考し行動していくこと
  3. 法定企業はもちろんのこと、社風がよくなってきたと感じられたら法定義務に関係なく障がい者雇用にチャレンジすること

7)幸福度調査の定期的な実施

幸せを実現する実務の最後は、人間でいえば人間ドック、健康診断です。

  1. 人本経営の実践を試みた結果の社員の幸福充足度の変化を測定するために、定期的に社員意識調査を実施していくこと。課題がみつかったら、幸せ軸がさらに進むほうへぶれずに問題解決を繰り返していくこと

いかがだったでしょうか。やり方は100社あれば100様です。またレベルも程度差はあります。しかし、こうしたことを一つ一つ実現していき、「いい会社」といわれる組織は輝きを増しているのです。そのあり方は真に不変なのです。 本稿ではさらに実務の詳細について触れる余裕がありませんでしたが、すべての施策について、より具体的なアプローチをしていく助言が可能です。関心がございましたらお気軽にお声がけください。(了)

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