第1125号 昭和業績軸大企業リストラ顛末物語

第1125号 昭和業績軸大企業リストラ顛末物語

昭和時代に一世風靡したものの業績軸経営から脱せない上場企業による「早期・希望退職募集」の人数は2025年に1万7,875人に達し、前年比で約80%増という急激な増加しています。辞めた元社員、残った社員の顛末を報じるメディアも増えてきました。いくつか紹介してみましょう。

ケース 退職金4,500万円で早期退職した元エリート部長(55)

「残りの人生は安泰だと思っていました」と、約4,500万円の割増退職金を手にして早期退職を選択しました。しかし、待っていたのは予想もしない孤独でした。「会社にいたころは、毎日数十件のメールや電話に追われて『休む暇もない』と愚痴をこぼしていました。それが今は、スマホが3日間、一度も鳴りません。自分が誰からも必要とされていない現実に、ここまで落ち込むとは思っていませんでした」

日本理化学工業の故大山泰弘さんが説いた人の究極の4つの幸せにある「人に必要とされること」そして、「人の役に立つこと」、、、やはりこれらは社会から、仕事を通じて得られる幸せなのだということが、つまびらかに感じ取れる記事です。そして、お金だけでは本当の幸せはつかめないのだということもまた物語っています。

ケース 大手メーカーで早期退職に乗らなかった49歳社員

リストラを回避し残留を決めたが、今となっては後悔しかないという。「前回のリストラ募集は勇気が出ずに会社にしがみつきましたが、残留したら花形部署から異動させられ雑用で時間をつぶす毎日が待っていました。こんなに仕事内容が変わるとは思わなかった……。あまりの落差に、あのとき手を挙げて転職しておけばよかったと後悔しかありません……」ということです。

出ていっても、また残っても、そのほとんどがどちらを選択しても不幸になっているというものがとても多いのです。そうしたなか、次のようなハッピーエンドも報告されていました。

ケース 味の素を辞めて人生第2章を歩む51歳研究職

伊那食品工業の研究開発部で働く岡松順子さん(51)は、新卒から24年余勤めた味の素から2024年6月に転職しました。身内の不幸などを機に「人生、いつ何があるか分からない。死ぬ時に後悔したくない」との思いが高まったそう。昔からの夢だった、美しい山に囲まれた土地への移住を決断。都内の移住相談会で心引かれた箕輪町へ移りました。経験を生かせる研究職を探し、なんとあの伊那食品工業に入れたそう。「伊那谷の雄大な景色を眺めながら通勤できるのが幸せ」と笑顔を見せています。

逸材を失った味の素

日経新聞などによると、味の素は2020年に50歳以上の管理職を対象に希望退職を募り、100人の応募枠を上回る144人の社員をリストラしています。→記事 その時、この方は当然に少し上の世代が会社から放り出されていくのを間近でみていて味の素で働き続けることに対する希望を失ったのだと考えられます。中高齢者のリストラという会社の行動が下の世代を動揺させて転職を決意させてしまう本ケースのような事例もきっとごまんとあることでしょう。サイトによると伊那食品工業の中途採用比率は2023年度 3.2%となっています。100人に3人の確率で あの伊那食品工業に採用されるほどの優秀な人材なのです。ということは、味の素は間違いなく逸材を失ったということを意味しています。リストラは関係の質を壊し、結果の質を悪化させるという法則をまた確認できる記事だといえるでしょう。本ケースではこの方が最後に伊那食品工業で働けて幸せと言っていることに心救われる思いです。さすがの伊那食品工業、とことん社員を幸せにしています。今後、産業界の主役は昭和業績軸企業から嘘偽りのない幸せ軸経営実践企業に確実に移ろっていくのです。

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