第1120号 改めて問う、人を資本でなく、本位と捉える経営を実践せよ
2026.2.9
一般社団法人企業価値調査機構なる団体が、人を活かす企業の新基準”人的資本推進企業2026″ 審査開始をするというプレスリリースが届きました。この認証事業の目的を同団体は以下のように説明しています。
中小〜中堅企業、非上場企業でも無理なく運用できる「実現可能性」重視の審査項目を通じて、企業の人的資本に対する取り組み姿勢と実践度を評価・認証します。これにより、企業の対外的な信頼向上だけでなく、社内の意識変革や組織活性化も促進し、「人を大切にする経営」を中小企業から社会に広げていくことを目指します。
完全なる誤認識~人的資本経営は「人を大切にする経営」ではない
一社団法人の事業に、いちいち目くじらを立てるつもりはありませんが、この事業が「人を大切にする経営」を広げていくというので、言わせていただく。人的資本経営は、「人を大切にする経営」ではありません。従いまして、この団体がいくら人的資本経営だと認定しても、けっして世の中に「人を大切にする経営」は広まりません。
これまでも当通信で主張、指摘してきましたが、改めて論理を展開します。人を資本とみなしている限り、減資という経営選択がつきまとい、リストラという「人を大切にする経営」では絶対にありえない事態が発生します。
人的資本経営を標榜する大企業が実践する人の減資
パナソニックは、そのホームページで3分でわかる、パナソニックグループの⼈的資本経営とタイトルして同社が積極的に人的資本経営を展開していると喧伝しています。にもかかわらず、今、まさに1万人以上の中高齢社員をリストラしているのです。その理由を経営陣は、この断行によって、よくやっていると株価を上昇させるためだと明言しています。記事 つまり、優先するステークホルダーが、社員より株主であることは明白で、人的資本経営は紛れもなく「業績軸」の経営であることが露呈しました。パナソニックだけではありません。今、希望退職という名のリストラを仕掛けている有名大企業のサイトをみてください。こぞって当社は人的資本経営に積極的に展開と出てきます。今後、この言葉(人的資本経営)を謳っている会社は、すなわち幸せ軸の「人を大切にする経営」とは真逆の業績軸の会社と認知していかざるを得ないと存じます。
甘い審査基準
この認識が決定的に誤っていて認定するということ自体、冒頭の認証制度自体の信頼性が全くないと言わざるを得ません。人的資本推進企業審査基準として20項目が挙げられていますが、80%以上回答できれば認定するというハッキリ言ってザルです。その項目で認証のためにクリアする数値基準がないのです。数値はどうでもやっていると企業が示したら認証するというのです。しかもその基準に決定的に重要な「リストラをしていない」という「人を大切にする経営」では絶対に確認しなければならない審査項目はありません。また社員の幸福度でなく満足度調査の有無を審査項目にしていて見識の浅さがみて取れます。
人を資本でなく、人を本位にする経営こそが絶対に重要
改めて声を大にして申します。人的資本経営は「人を大切にする経営」ではありません。生産年齢人口が激減している現在、そして未来に持続可能性を高める「あり方」は業績軸ではなく幸せ軸です。それを体現するのが「人を大切にする経営」なのです。実現させるためには人は資本ではなく、人を本位、中心、センターととらえる人本経営の実践が正解なのです。ぜひ間違わないでください。
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