第1102号 自己満足はあるが、自己幸福という言葉はない

第1102号 自己満足はあるが、自己幸福という言葉はない

自己満足という言葉はありますが、自己幸福という言葉は存在していません。

日本理化学工業の故大山泰弘さんが提唱し広めた究極の4つの幸せは以下のとおりです。

  • 人から愛されること
  • 人にほめられること
  • 人の役に立つこと
  • 人から必要とされること

いずれも人という他者との関りで発生してくるのが、幸せ、幸福なのです。したがって自己幸福という言葉はないのです。

オレがオレがの我を捨てて、おかげおかげの「げ」で生きる

大山さんもご著書「利他のすすめ」の中で、利他に生きる方が、「自分が、自分が」と我をはって生きるよりも、むしろ安心して生きることができると著されています。

我とは、自己満足を優先させていく行動です。 刹那は満足できるかもしれませんが、他者との関係性においては、これを破壊してしまうことが往々に生じます。自分勝手な行動をとる人には、他者は「あの人はワガママで自己中だから放っておこう」と近づいてきません。距離をおかれるということは良好な関係の質を築く入り口をふさいでしまっているのですから致命的です。

「げ」は下でなく解

この格言は、大切だと著者も感じて実践して行こうと決めたときがありました。検索すると「げ」を下という字を当てているケースが多いのです。しかし、それではつい「下手にでてりゃいい気になりやがって」という気持ちがもたげてきてうまくいきませんでした。

そこで、「げ」を解と解釈して行動していくようにしました。我は己の価値観、主観を再優先に考え行動していくことです。他者と対話をしていて「信じられない」とか「ありえない」と感じることがあります。それでバッサリ切ってしまっては良好な関係の質は生まれてきません。何と言っても相手にとっては「信じられる」し「ありえる」のです。法に触れなければどんな考えをもち行動しようと自由です。主観は自分一人だけの生きてきた経験値にすぎません。世の中には人類82億分の主観があるのです。ですから「自分にとっては信じられない、ありえないと感じるけど、どうしてそう思うの?」と傾聴行動に出るのです。

理解の解、そして

すると相手は、過去にこんな体験があったのでそう思うのだと話し出します。それは自分では想像もできなかった体験で、確かにそんな経験をしているなら、そう思っても無理はなさそうだと理解ができるようになります。理解の解、そう「げ」なのです。共感を示していくと相手も自分が否定されていないと安心します。関係性を切ってしまうという最悪の状態を回避できるようになるのです。つまり解毒しているのです。ここにも「げ」が登場してきます。そして他者の体験から学んで自分自身も成長していきます。だから、おかげさまになるのです。

自利利他という状態を創り続けていく

「自利」とは自身の利益、「利他」とは他人の利益のことです。「利他を実践すれば、いつかは巡り巡って自分の利益になる」というような考え方ではなく、「利他の実践がそのまま自分の幸せなのだ」という意識状態で行動することが自利利他という状態です。利他とは慮ることです。その行動が「解」の行動、すなわち主観を解き放つことだと感じています。その行動は、冒頭の究極の4つの幸せをもたらしてくれる行為に確実につながっていくのではないでしょうか。

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