第1101号 人本経営で再生した企業ケース② トリドール

第1101号 人本経営で再生した企業ケース② トリドール

幸せ軸の人本経営型企業の事例を紹介するレポートをシリーズ第2弾です。

トリドールHD、人的資本経営を深化させた「心的資本経営」始動 粟田貴也CEO「我々をはるかなる成長に導いてくれる」

2025年9月17日ニッポン放送

「丸亀製麺」などの経営で知られる株式会社トリドールホールディングスが17日、都内にて「トリドールHD 心的資本経営メディア説明会」を開催。人的資本経営をさらに深化させた独自の経営手法として、人の“心”を起点とする「心的資本経営」を始動すると発表した。

「心的資本経営」とは、「従業員の“心”の幸せ」と「お客様の“心”の感動」を共に重要な資本ととらえ、どちらの“心”も満たし続けることで持続的な事業成長を実現する新たな経営思想のこと。「従業員の“心”の幸せ」と「お客様の“心”の感動」による好循環づくり、そして永続的な人材確保や離職率の改善、求人や教育コストの削減、お店の地元への地域貢献など、様々な価値を長期的に生み出し、グループ全体で持続的な事業成長を目指すという。

代表取締役社長兼CEOの粟田貴也氏は「働く人の幸せが1番最初にあって、その幸せそのものが店や商品に対するエンゲージメントを高める。それがモチベーションに繋がり、我々がもっとも大切にしてきた“食の感動体験”をお客様に提供できる。それにより(顧客の)店に対するロイヤリティが高まり、足しげく店に通っていただけるんじゃないかと。繁盛して上がったものは、また働く人に還元していく。この流れがもっとも大切」と考えを述べた。

大企業が幸せ軸経営の重要性に気づいた

丸亀製麺を展開するトリドール。ホームページによると今や従業員数は7800人を超える巨大飲食産業になっています。創業35年。ここに至って、業績軸から幸せ軸志向経営に切り替えたと粟田貴也CEOが発表しました。人本経営とか人を大切にする経営というワードは使っていませんが、心的資本経営と名付けた「働く人の幸せが一番」とするそのコンセプトは、ほぼ同様の概念と考えられます。1年前の2024年6月から心的資本経営の社内浸透を進め、従業員の離職率がなんと12.9%も減少し、さらにハピネススコアが高い店舗ほど業績への貢献が明確に現れる傾向が確認されているといいます。もともと同社の業績は堅調に推移してきていますが、2025年3月期連結業績で売上収益は2,682億円と過去最高を記録したそうです。この1年間で手応えをつかんだので、これから幸せ軸経営に本気で邁進していくと栗田社長は大々的に発表したと考えられます。しばらくは、さらにこれからこの会社がどうなっていく注視していきたいと存じますが、これだけの巨大企業が、幸せ軸経営の重要性に気づき、トップが本気で追及するという出来事は、本当に世の中が変わってきたということを実感せずにはおられません。

10年後の素晴らしい未来は今日という一日にかかっている

ホームページで幸せ軸経営について語るこの動画の最後に、栗田氏は「今日、この幸せ軸経営を実践して行くことで想像もできない大きな未来が待っている」といったことを語られています。

当通信1095号「大切な今日という一日」で今日という一日をどう行動するか、これに尽きる、その一日の積み重ねで素晴らしい10年後の未来がやってくると人本経営の極意を紹介しましたが、おっしゃっていることはまさにそのことではないかと感じ取りました。

巨大組織ゆえ、末端まで浸透させていくには、相当に時間はかかるでしょうが、ぶれずに幸せ軸経営の実践を貫き、社会にインパクトを与えていただきたいものです。

人本経営で再生した企業ケースシリーズ、続けられるという予感がして始めましたが、こうすぐに続編がレポート出来て何よりです。毎月継続できることを念願しております。

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