第1082号 業績軸vs幸せ軸、勝負あり

第1082号 業績軸vs幸せ軸、勝負あり

岸田前政権から受け継がれ、石破現政権でも継続開催されている新しい資本主義実現会議。オリンパスなどでジョブ型の虚妄が白日の下にさらされているにもかかわらず、4月23日も開かれ、石破総理は、「ジョブ型人事指針の普及を図り、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入を進める」と明言しています。もはや確信犯であることは疑いがなくなってきたようです。

幸せ軸の人本経営企業は今

事実を示します。ジョブ型という業績軸経営の対極にある幸せ軸経営に邁進している企業が今どうなっているかご紹介しましょう。

  1. 伊那食品工業 売上高232億3400万円で過去最高 2024年12月期決算 記事

コロナ禍でいったん1割売上を落とした同社でしたが、その後V字回復して2022年12月期には初の200億円越え(205億円)を記録したことが報じられていたのが記憶に新しい。そこからわずか2年で30億近く増収となっているのです。昨年は11%成長でしたが、今年は2.2%。すなわち、コロナ禍で減った分、急回復して、現在は従来の年輪の幅に戻ったということです。本当に盤石さが見事だと言わざるを得ません。さすがです。

伊那食品工業は、未だ頑なに年功序列の終身雇用です。ジョブ型雇用などしていたら、今の伊那食品工業は間違いなく存在していないに違いありません。

  1. ヒグチ鋼管 過去3年最高増収、増益を更新中

2016年に業績軸経営に決別し、幸せ軸の人本経営へ大きく舵を切った同社。愚直に人を大切にする経営に取り組んできた結果、数年は業績として目覚ましい変化はなかったものの優秀な人材の確保に次々と成功し、また社内体制も改善が進み3年後の2019年に売上は初の20億円超えを達成。その後コロナ禍によりいったん下がるも2022年にはV字回復し25億円を突破、以降3年連続で過去最高の増収増益を達成し2024年は30億円超えとなっています。つまり、伊那食品工業と全く同じ足跡を辿っているのです。2016年に幸せ軸ではなく業績軸のジョブ型を導入していたら、間違いなく今もほぼその当時の業績レベルを繰り返し停滞していることでしょう。

900回になろうとしている視察先も180社になろうとしている指導先も、押しなべて「採用の成功」「低離職率」「好業績」という現代企業が持続可能性を高めていける鍵を明確に手に入れ健全に成長を続けていることが確認できます。

業績軸vs幸せ軸 勝負は決した

囲碁や将棋であれば、解説者は「これは優勢ではなく、勝負は決しましたね」と幸せ軸に軍配を上げる状況だということです。政府に扇動され2020年にジョブ型を実施したもの結果が伴わず、2024年に希望退職というリストラを仕掛けた企業群とは明確な差が生じています。業績軸から幸せ軸へ、この変革を実現できる企業こそ、この先、持続可能性を高めていくことを実現できるのです。どう考えても、もうこれが正解といえる時代になったと断言できます。しかし、ジョブ型を今日現在も政治が主導して国力を削ぐことを率先しています。嘆かわしいのですが現実です。安倍首相が凶弾に倒れ、岩盤保守が政治の中心から追い出され、一気に左傾化しています。まともな保守層の巻き返しに期待したいし声も上げていこうとは思います。しかし、もどかしい。だから、どんなに政治が無策でも、シンクタンクやコンサルが追随して煽っても、揺るがずに人々に選択され続ける幸せ軸の人を大切にする経営に成功する企業を増やし続けていきたいのです。この15年でその勢力は1%から20%程度にはなってきた実感はあります。われわれがわが国の企業の過半数をしめるようになれば、確実に世の中は変わるはずです。

それはちんけで陳腐な政治とは違い、母親の母性のように大きく社会を抱擁することでしょう。健全で健康な社会を築くのは人として正しい経営を未来永劫、実現し続けていく企業と社員とその家族の双肩にかかっています。人本経営のパワーで一燈照隅、萬燈照国の世界を叶えていきましょう。

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