第1087号 100人に1人の経営者になれ

第1087号 100人に1人の経営者になれ

こんな説があります。

伊那食品工業のようなホンモノの幸せ軸の人を大切にする経営に触れて、「これは心底いい」と思うのは10人に1人だといいます。これまで15回、伊那食品工業へ視察に行く機会をつくってきました。延べ300人以上の経営者、経営幹部をお連れした計算になります。たっぷりと同社に触れた参加者は帰りのバス車内の振り返りで口々に「よかった」「凄かった」「考えさせられた」と言葉にされています。圧倒的に感動されていることは間違いありません。しかし、翌日、自社に出社し現実に戻ると、その感動は薄れていきます。ここで、だからこそ経営革新を自分が進めていかないとならないと実際に行動できる方は、いいと思った10人のうち1人だというのです。つまり伊那食品工業のようなホンモノに触れても100人に1人しか、実際に幸せ軸の経営の実践行動が出来ていないという説です。言われてみて、一理ありそうだと頷いてしまいました。

不退転のリーダーシップを発揮しないと99人になる

現在の職場が業績軸主体の経営であって、これでは将来に希望がもてないと感じても、それを幸せ軸の経営に舵取りし直すことは、相当のエネルギーを要すことは言うまでもありません。幸せ軸の経営に舵を切ったとしても、それで今日、明日に劇的な変化が現れることはないでしょう。幸せ軸の経営は遠くをはかる経営だからです。つまり、緊急ではないが重要な事案の最たる課題が幸せ軸の経営の実践なのです。ここを踏まえて不退転のリーダーシップを発揮していく、これが肝要です。

幸せ軸の経営を実践し実現し成功した経営者、リーダーはみなこのことをしかと心して、悩んでもブレない行動をしています。つまり、これが本気度なのです。

やることは、今日、明日といった近視眼的なことでなく、10年先にここで働く社員が、幸せに満ちていい人生を過ごしているビジョンを現実化するということなのです。

抵抗勢力に屈しない

幸せ軸経営について、語り実践しようとすると、大なり小なり、必ず業績軸経営に慣れたベテラン社員からの反発が起きてくるでしょう。ここでめげては、あっという間に元の木阿弥です。10年仕事だとはっきり自覚して抵抗勢力に向き合っていきましょう。セオリーは対話です。これからの時代に持続可能性を高めていくには、業績軸から幸せ軸への変換が必要不可欠であることを堂々と説いていきましょう。ベテラン社員にしてみれば、それまで先輩たちにいわゆる支援型リーダーシップをされてこなかったのだから、なぜ、自分がそんなことをしなければならないのかと理不尽に感じるのは正直な心境でしょう。しかし、それでは、もう時代が企業経営を持続させなくなっていることを説き伏せていきます。精一杯、伝えても、どうしても理解が得られない社員とは、どこかで袂を分かつ覚悟で構わないと存じます。その位の覚悟で抵抗勢力に向き合ってください。最悪、離職をしてもらうことになったら、けんか別れではなく、お互いのためにと、円満に職場を去ってもらうことです。実際、ライバル企業へ転職することに対しても制限せず、数か月分の給与を保証して、退職していただいた指導先の事例もあります。

最も幸せを実感するのは

なかなかの力仕事になります。しかし、再度10年後の職場をイメージして、心強く行動していきましょう。間違いなく、そのビジョンは実現していくのです。そして、多くのメンバーが「本当にここで働いていて幸せ」と笑顔であふれる職場になったという達成感を得られる日々が必ず訪れます。その時、最も幸せを実感するのは、業績軸から幸せ軸へ経営の舵取りを実践した経営者、リーダー、あなたなのです。このことは多くの指導先で例外なく体感してきていることです。

この15年で幸せ軸の経営は世の2割程度の企業が実践し始めていると肌感覚で認識しています。さらにこの先10年で世の過半数の企業が幸せ軸経営に進んでいる状態へと推し進めていくことが日本の明るい未来には急務と感じています。いいと思い行動を実践する100人の1人になる決断を今こそしましょう。

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