第1086号 人本経営の始め方 参
2025.6.2
6)人本経営を実践する
人本経営の学びを自社に展開していきましょう。ここは選択肢があります。
経営者自らが陣頭指揮をとっていくことが一つ、もう一つは、外部の専門家に頼り社風をよくするサポートを委ねる方法です。なぜ選択肢がふたつになるかというと、経営者のなかには、「幸せ軸」の人本経営を学び、自らが率先垂範して組織風土を変えていくことができる方もおられますが、「業績軸」の経営感覚が染みつき、自ら率いていくことに難しさを感じる方もいるからなのです。自ら実践しても人本経営が社内にうまく伝わらないもどかしさを感じるようであれば、迷わすに弊社にご相談してください。
―ヒグチ鋼管の事例―
ヒグチ鋼管さんは、明確に前者でした。そして前述のように毎期、幹部や次世代リーダーを人本経営実践講座に送り出していかれたので、職場に人を大切にする経営に対する共感、共鳴の輪が年々確実に拡がっていき盤石な幸せ軸の企業文化が形成されていきました。
7)求人募集広告で「幸せ軸」を強く打ち出す
ここまでのステップを踏んできたら、次は、採用でチャレンジをしていきます。
これまでは明確に「わが社は幸せ軸の経営している」とは求人広告に打ち出すことができないので、当然に、そこに共感する新規採用が出来るはずもありませんでした。しかし、もう違います。堂々と求人広告に、今、わが社は社員が幸せになる人本経営に取り組んでいて、やりがい、働きがいのある企業風土づくりをいちばん大切にしていると打ち出すことができます。
まだ風土改革が出来ていなくとも、チャレンジしているということは嘘偽りではありません。幸せ軸経営を志向しているというメッセージは、驚くほど必ず一定数の求職者に響きます。
―ヒグチ鋼管の事例―
ヒグチ鋼管さんは、この教えをすぐに実践されていかれました。マイナビなどの求人広告でこう展開していったのです。
幸せ軸のヒグチ鋼管へようこそ。地元、大阪で働きたい方必見。社員とその家族の幸せを一番大切にする会社、ヒグチ鋼管です。
~ご紹介~
弊社は平成28年5月から社員とその家族の幸せを第一に考える『人本経営』に取り組んでいます。お客様第一主義の前に社員とその家族が幸せでなければいけない。そんな社風に共感していただける前向きな方の応募をお待ちしております。
劇的な人本効果が現れました。人本経営を学びはじめて間もなくこのような求人広告で幸せ軸、人を大切にする会社であることを前面にPRし、10名もの採用に即成功したのです。それまでの求人広告ではやっと一人採用できるかどうかだったのが雲泥の差になったのです。今やこの時採用した人材は中核となってヒグチ鋼管の屋台骨を支え今日に至っているのです。
ここまでのスタートアップがきれるかが鍵
幸せ軸前面の求人広告に反応して、求職者が面談に来てくれたのなら、「まだ道半ばではあるが、本気で幸せ軸経営を実現したいと思っているので、ぜひあなたの力を貸してほしい」と伝えていくのです。そして、ぜひ働きたいと思いに共感共鳴した新人が採用できたのなら、いよいよますます人本経営の実践にも磨きがかかっていくはずです。
ここまでのスタートアップができたのなら、あとは時間の問題で社内の空気感はよくなっていき、よい変化が連続的に起きてくるようになります。悩んでもブレずに前進していきましょう。
ヒグチ鋼管さんは、まさしく実践者です。よって過去最高の業績という結果も近年達成し続けている訳です。ヒグチ鋼管さんの人本経営は極めて模倣しやすい事例であり、再現性も保証します。
後はやるかやらないか、これに尽きるといえないでしょうか。(人本経営の始め方 本号にて終了)
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