第1084号 人本経営の始め方 壱
2025.5.19
このところ報告してきたように業績軸vs幸せ軸の勝負は決しました。右肩下がりの時代に企業が持続可能性を高めていくためには、幸せ軸の経営に企業体を改める以外の選択肢はなくなったといって差し支えないでしょう。人本経営は幸せ軸経営実現のための唯一の方法とは申しませんが、それを実践すれば寸分違わず幸せ軸の企業文化が開花します。わが国が輝き続けていくために、企業の過半数が幸せ軸経営に成功してほしいと強く念じております。1社でも多くの企業の幸せ軸経営実現につながることを期待して、今週号から「人本経営の始め方」と題して、その実践法を紐解いて参ります。
人本経営の始め方 目録
1)経営者が心を整える
2)理念を幸せ軸に置き換える
3)社員が健康になっていく施策を講じる
4)幸せ軸の経営参謀をおく
5)人本経営を学ぶ
6)人本経営を実践する
7)求人募集広告で「幸せ軸」を強く打ち出す
それぞれその意味合いと留意点を解説していきます。指導先で「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞したヒグチ鋼管さんの事例も併せて紹介していきますので参照なさってください。
1)経営者が心を整える
次の伊那食品工業、塚越寛さんの言質をしかと受け止めていただくことが人本経営のスタートです。
「快適な職場づくりは、利益があるからできるのでしょう?と言われることがありますが、それは違います。バランスを取りながらも、たえず快適な職場づくりを重ねてきた結果、収益力があとからついてきたのです。」
現在、赤字であろうと黒字であろうと、これから幸せ軸の経営に邁進すると1000%決意を固めます。この経営者の本気度が必要不可欠です。そして、以後、悩んでもぶれずに、絶対に幸せ軸で会社をよくしていく、よくなると信じきってください。
―ヒグチ鋼管の事例―
樋口浩邦社長は、GCC(グッドカンパニークラブ)に参加したことがきっかけで幸せ軸の経営で抜群に輝いているヘッズさんを知り、開眼。すぐに拙著「人本経営」を読了してくださり、業績軸から幸せ軸へ経営方針を改めることを決意して行動に移されました。東京で開催した人本経営まつりに参加し、坂本光司先生に本気の決意を語っておられました。
2)理念を幸せ軸に置き換える
人本経営者として心が整ったら、次は、その意思を経営理念に反映させてください。どのような理念にしていくは、もちろん経営者の思いなので自由です。ただし、絶対に入れる必要がある文言があります。それは「社員の幸せ」を目的にしていくということです。このワードはぶれなくなるための絶大な効果があります。
<好参考例>
ヘッズ 経営理念:多くのしあわせを創りだすことにより社員がしあわせになり、支持され、成長する会社になる/社是:幸せ創造会社
ATR 経営理念:全社員の幸せを通して世の中に『ありがとう』の輪を広げ幸福総和No.1企業を創る ※ATR=アドバンティク・レヒュース 新SVC通信1031号参照
伊那食品工業 経営理念:会社の発展を通じて、社員がみな幸せになり、社員の幸せを通じて社会に貢献する/社是:いい会社をつくりましょう。たくましく、そして、やさしく。
―ヒグチ鋼管の事例―
幸せ軸に転換した樋口社長は、経営方針の一つに「社長は社員とその家族の幸せと健康を第一に考え経営します」と明記されました。このことが念頭にあると、今、多くの業績軸大企業が行っている中高齢者の希望退職募集といった言語道断なリストラという経営手段が浮かぶはずもなく、急成長ではない確実な年輪経営を志していくことに余念がなくなります。(以下、次号)
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