第1074号 幸せ軸の視座をもつことの重要性を改めて全経営者に問う

第1074号 幸せ軸の視座をもつことの重要性を改めて全経営者に問う

多くの企業が姿を消しています。経営、特に中小企業において、どのようにそのあり方の軸を定め、進んでいくか、このことの重要性が現代ほど問われている時代はないでしょう。そのことを指し示せないから経営コンサルタントの倒産が過去最高になっています。→1067号

まやかされず正しく理解してほしい

前号で触れたとおり、コンサルに加えてメディアやシンクタンク、そしてあろうことか国までが経営者が進むべき方向をミスリードしている事案が蔓延しているので、本当に経営者は深慮していくことが重要です。正しい視座をぜひもっていただきたく本号でそのための寄与にチャレンジします。

視座1 日本的経営と人を大切にする経営(人本経営)は別物である

未だに、多くの識者の中で、この整理ができていない代表的な視座です。これに引っかかると先に進まなく拘泥状態に陥るリスクがあるので十分にわきまえておきましょう。このことについては当通信では10年以上も前に警鐘を鳴らしています。

『日本的経営と人本経営の違い 1 第556号  2 第557号  3  558号  4  559号

詳細をぜひお読みいただき理解促進を深めていただきたく存じますが見出しだけ改めて掲載していきます。

違い① 日本的経営は業績軸であることに対して、人本経営は幸せ軸である

違い② 日本的経営は顧客第一主義であるのに対して、人本経営は社員第一主義

違い③ 従業員持株制の採用度は両者とも高いという共通点があるが、株式上場に関する考え方が真逆である

違い④ 日本的経営と人本経営において最も際立って、その違いが浮き彫りになるのが社員に対する考え方である

違い⑤ 日本的経営は終身雇用であるが、人本経営では生涯現役となる

違い⑥ 日本的経営では会社からの働きかけによって雇用調整が行われる余地が残るが、人本経営では社員の職業人生の最後は社員に委ねられるため雇用調整という概念がない

違い⑦ 取引先に対する考え方 日本的経営は外注先、下請けであるのに対して、人本経営では協力先、パートナーと位置づけている

違い⑧ 家族への思い~日本的経営では、「会社人間」や「企業戦士」という言葉があったように、およそ家庭円満はないがしろにされていたが、人本経営では根底に家庭円満があることをなにより重視する(今回一部加筆修正)

違い⑨ 重視する社員教育は、日本的経営は技術力であるが、人本経営では人間力が土台となる

違い⑩ 日本的経営では制度が重視されていたが、人本経営では制度を主役にしない

以上だけでも十分に伝わるかと存じますが、日本的経営は業績軸、人を大切にする人本経営は幸せ軸であるということで明確な線引きを示すことができます。兄弟のような関係性ではあるものの、その人格が全く違うように別物なのです。

視座2 業績軸が幸せ軸か

これも繰り返し強調してきたことですが、実践している経営の実態が、業績軸なのか幸せ軸なのかが、これが明確に重要で確実に将来を決していきます。その実態がこの業績軸か幸せ軸かの表に照らして、業績軸の傾向が多いのであれば、それは業績軸経営を実践していることにほかなりません。確かに社員からみても幸せ軸だと感じられる実態があること、これが何と言っても重要です。人的資本経営は、エンゲージメントや女性活用、包摂性のあるリーダーシップなど人本経営にみられる特色を意識していることは認められますが、その実態は幸せ軸経営からは隔たりがかなりあり業績軸から抜け出せていません。だから人的資本経営でなく人本経営を端から実践してほしいと推奨するのです。

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