第731号 歴史の差|2018|新SVC通信|株式会社シェアードバリュー・コーポレーション

新SVC通信

2018/04/16

第731号 歴史の差

「人を大切にする会社」に関するトータル情報誌
新SVC通信 第731号



歴史の差



衝撃的だったサッカー日本代表ハリルホジッチ監督の電撃解任劇。

たしかにここのところの代表戦は、見るべきものがなくワクワク感という高揚もない低調さが蔓延していました。ハリルホジッチ監督は、ついにW杯2か月前になっても選手を固定せず、テストを繰り返し続けていました。「大丈夫か、今回の代表は?」という感想を大方のサポーターが抱いていたことは間違いありません。しかし、前代未聞のこの時期に解任するということが日本で起きるとは思ってもみないことでした。

解任劇の真相をメディアはあれこれ書き立てています。人気のあるスター選手を登用したがらず結果がでない日本代表チームはテレビの視聴率も低下し、有力スポンサーが痺れを切らしてサッカー協会に圧力をかけて、今回の騒動をもたらしたのが真相だという憶測がされています。

出来事が衝撃的で、組織論や経営ということを論ずるテーマとしても事欠かないせいか、ビジネス系のメディアでも記事が取り上げられるという異様な展開をみせています。

ダイヤモンドオンラインでは、『ハリル氏解任にみる、「牽引型リーダー」の日本における限界』と題してリーダー論を展開しています。日経ビジネスオンラインでは、トップ扱いで『ハリル解任という劇薬で挑むW杯』というタイトルの記事を配信しています。

人本経営の可能性を伝え続けてきている当通信でも、スポーツでの象徴的な出来事を取り上げて記事にしたことがありました。例えば、人本主義に親和性が高いとみられる平成世代のポテンシャルの高さを五輪や世界大会での活躍で指摘したこともありました。また、その少し前には「なでしこジャパン」を率いた佐々木則夫監督が、人本的なあり方でチームづくりをして結果を出したこともレポートしました。

■見てみたかったハリルジャパンのロシアW杯

急遽、西野朗新体制になって、日本代表は再船出となりました。本番でどういう結果が待ち受けているのか見当もつきませんが、一つだけ残念なことがあります。それは、このままハリル監督が継続していったらどのような結果になったのかということが検証できないことです。ハリル氏は、直前3週間でチームを作り上げると明言していましたし、だからこそここに至るまでメンバーを固定せず色々な選手を試して、最終的にベストメンバーを組もうとしていたのは確かでした。ハリル氏は、対戦相手のスカウンティングには定評があり、本番に強いことが売りで、実際、前回のW杯でアルジェリアを率いて決勝トーナメントに進出し、王者ドイツに惜敗という結果を残しました。日本サッカー協会幹部がこの結果を踏まえて監督招致したのは疑いようがありません。

直前に調子は上がっていないけれども、本番で対戦する相手国はそれなりに戦々恐々だったのではないかと思われます。しかもメンバーを固定しないので、どう対策を立てるかということでは的を絞りにくかったことでしょう。直前まで手の内を明かさないのがハリル氏の考えであったとしたなら、そして弱いと油断させる思惑があったとしたなら、味方ですらこうして動揺しているくらいですから、敵を欺く功を奏していたのかもしれないのです。とにかく、これからがハリル氏に依頼した意義が真骨頂というときに、それを検証せずに責任者の首を挿げ替えたサッカー協会の田嶋幸三会長をはじめとする現幹部の決断は、日本サッカーを成長させるという視点からはあまりに短絡的・近視眼的で、今後に禍根を残す措置であったと言わざるをえません。

日本のサッカーがプロ化されたのが1993年のことで、ようやく四半世紀の歴史を刻んだ段階です。たしかにこの間、それ以前では考えられないほどサッカーの文化は開花し、競技人口も増え、世界大会への出場も常連化してきました。しかし、欧州、南米の強豪にはここというところで跳ね返され続けています。

他の競技では、平成世代を中心に世界一や世界ランキングトップクラスを輩出することが珍しくなくなってきましたが、サッカーだけは現在も世界50位以下という体たらくを続けています。強豪に跳ね返されるたび、彼らは「歴史の差」と言われ続ける屈辱を味わっています。さらに今回の騒動で、まさしく歴史のなさを痛感させられてしまいました。ハリル氏を続投させて、その結果を踏まえることが歴史を重ねることに他ならなかったのに、本当にもったいないことをしたとつくづく残念でなりません。サッカー協会の執行部は、アマチュアの日本リーグ時代の出身者で構成されています。ここの層も、プロで体を張り、真に世界を肌で知っている元選手たちが仕切るようになれば物事は大きく変わってくるはずです。ここにも歴史の差という、ぐうの音も出ない現実を突きつけられているようです。

実は人本経営も同じで、伊那食品工業を学べば歴然ですが、歴史の差が圧倒的差を招くのです。


【今週号の情報ソース】
・ハリル氏解任にみる、「牽引型リーダー」の日本における限界
 http://diamond.jp/articles/-/167282
・ハリル解任という劇薬で挑むW杯
 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600093/041200064/?i_cid=nbpnbo_tp


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