第703号 マネジメント革命「管理から支援へ」|2017|新SVC通信|株式会社シェアードバリュー・コーポレーション

新SVC通信

2017/09/25

第703号 マネジメント革命「管理から支援へ」

「人を大切にする会社」に関するトータル情報誌
新SVC通信 第703号



マネジメント革命「管理から支援へ」



拡大再生産を追い求めてきた従前の売上至上主義の業績軸経営では、大量生産、大量消費を実現するためには、なにより効率が最優先されて、巨大なピラミッド組織を「管理するマネジメント」が絶対的に重要視されてきました。

しかし、時代が変わり、社会にはモノがあふれ、国民のニーズは多様化してきました。製造業では多品種微量生産で収益性を確保することが求められ、サービス業では消費者は価格だけで行動選択するのではなく、楽しさや感動といった付加価値を提供することが求められています。

効率性だけを追求していては多様なニーズに応えられない時代にあって、経営のあり方を根本的に考え直さなければならない状況下にあります。

そして、これからの時代も顧客に満足感を与える仕事を生み出すのは、社内外の社員以外ありえません。やりがい、働きがいに満ちて、モチベーション高く仕事をする社員を輩出していかない限り、企業の未来はありえないという厳粛な現実が今、ここにあります。

さらに未曽有の少子高齢化が、わが国から生産年齢人口を奪い続けていき、慢性的な人手不足状況から長い間、抜け出すことは出来ない未来が続いていきます。ほぼその状態が永続するといって差し支えない感覚といえるでしょう。

このような情勢下で、いまだに「代わりの社員はいくらでもいる」と、人をモノや道具としてしか捉えられない経営者が存在しているのも事実でしょう。現有の社員が労働力として確保できる限りにおいては経営を続けていくことが出来るでしょう。人を大切にしないからといって、明日、明後日に経営が傾くわけではありません。しかし、十年先、二十年先にどうなっていくでしょうか。確実に三十年先はこの世からその存在がなくなっている確率はとても高いでしょう。

■管理から支援へ

発想を変える必要性が生じています。管理されているなかで、人はやりがい、働きがいを満たしていくことに限界を感じるであろうことは誰が考えても理解できるはずです。しかし、長年慣れてきた上意下達の社内での人間関係のあり方が、これでいいと思考停止を招きます。

人本経営に成功している会社の多くが、なぜフラットな組織をつくっているのか、役職呼称をやめて「さん」付け呼称にしていくのか、その理由がここにある訳です。これまでの悪しき風習を打破するためには労使という上下関係ではなく、わが社は同志、仲間あるいは家族といった絆をベースにした人間関係を築いていくという意思表示をしているのです。

そうした組織では、トップやリーダーには管理ではなく「支援するマネジメント」が絶対的に重視されてきます。では、何を支援するのでしょうか。それは言うまでもなく社員一人ひとりが、やりがい、働きがいを満たしていくための支援にほかなりません。

仕事の最期の日、この会社で働いていて「いい人生だった」と社員が感じることが、最高のやりがい、働きがいの到達点です。そういう状態になるためには、何を大切にしていけばよいか、優先順位を考えてマネジメントをしていくのです。

「いい人生だった」という言葉は、幸せ感をもっていなければ出てこないことは明白です。人にとって最も幸せの根幹に関わることは、家庭円満にほかならないでしょう。だから人本経営を成功させた経営者が、いの一番に「仕事の都合より家庭の事情を優先していい」という経営方針を示すのです。まさしく仕事と子育て、あるいは介護との両立支援です。

そうした支え、サポートを感じて、社員は幸せを守ってくれる会社にいることへの喜びを噛みしめ、お客様にもっと喜んでもらえるように仕事に打ち込んでいこうとモチベーションを高めていきます。どうすればもっとお役に立てるか考え出し、創意工夫を重ねていくようになります。その結果、多様な顧客のニーズに応えられるようなアウトプットが生み出される可能性が高まっていきます。会社に対して改善提案も自主的に図られていくことでしょう。会社も社員の能力を向上させる教育への投資を惜しまなくなり、人材育成が実現していきます。すると、さらに出来ることの質と量が広がり、より社会に必要とされる存在に企業が発展していきます。社風がよくなり輝き出した企業体には、人本主義に親和性の高い若い世代が反応して人材確保にも困らなくなります。こうして善循環のサイクルが実現していくのです。


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