ネッツトヨタ南国|企業名|人本経営企業のベンチマーク|株式会社シェアードバリュー・コーポレーション

人本経営企業のベンチマーク

ネッツトヨタ南国

ネッツトヨタ南国編

理念経営実践企業の研究第11弾です。今回取り上げますのは横田英毅会長率いるネッツトヨタ南国さんです。

かなり完成した理念経営を実践されていることは知り及んでおりましたが、業界が100年に1度の金融危機により超逆風を受けていては、さすがに横田さんのところもどうにもならないだろうと思っていました。しかし、『全国の新車販売が前年同月比で28%落ち込んだ今年1月、トヨタ自動車系ディーラーのネッツトヨタ南国(高知市)は37%増を記録し、1月として過去最高を更新した。(3/7日経新聞)』という快挙を成し遂げたというニュースが報じられました。なんと前年比130%超で過去最高記録とはたまげました。これを聞いては取り上げない訳にはいかないと考えました。

・ショールームに車を一台も置いていない(お客様がゆっくりくつろげるスペースを確保するため、敢えて車を置いていない)。
・「顧客」を名前で呼ぶ(お客様がショールームに入ってきた時、出迎えたスタッフは名前でお呼びする。駐車場で出迎えたスタッフが無線で車種と下4桁のナンバーを店内のスタッフに伝えると、パソコンで名前から、禁煙か喫煙か、好みの席・ドリンク・本・趣味・家族構成・トピックス、担当社員等、細かいデータが表示され情報共有をしている)。
・洗車はいつでも、何回でも無料で利用。トヨタ車以外でもOK。
・試乗も48時間までOK。
・モーニングセットの朝食はサンドイッチとコーヒーを250円で提供。

価値前提の経営

上記のようなサービスを提供して10万人近い来場者を記録しています。しかし、あくまで目的は働いている社員の側にあるというのです。

「お客様に喜ばれ、感謝の声が聞こえてくれば、働いている自分たちがうれしいし、気持ちよく働ける」という理念がネッツトヨタ南国さんの真髄です。ESのために最高のCSを実現させ、その結果、最上のESを実現するという訳です。

横田会長の理念でまず特筆すべきは、徹底的に「目的」に重きをおいているということです。お客様満足度の追求・社員満足の追求・独自能力の開発・社会貢献といった「目的」をまず真っ先に考えて追求し、次にそれを実現させるための「目標」として売上や利益が設定されるべきというコンセプトが貫かれています。

目先の売上や利益にとらわれる「事実前提の経営」に対して、これを「価値前提の経営」としています。言うは易く行うは難しですが、現に形にされているので素晴らしいとしか言いようがありません。初めに利益ありきで会社経営を考えないということは、コペルニクス的転換ですが、これが経営者の脳裏で腑に落ちると理念経営への道がぐっと開けてくることになるようです。

伊那食品工業の塚越会長も「利益はフンのようなもの」という至言を残されています。すなわち健全経営をしていれば必ず出てくるものであると考えているのです。ですから、フンに関心をもつことはあるべき姿ではないと断じています。

「私たちの描いていた会社の姿とは、売上高でもなければ利益でもありません。社員数など会社の規模でもなかった。そういった目標レベルのことではなく、完全に目的レベルの視点です。」と横田会長も語ります。では、その目的の達成状況は、どういう尺度で測っていくのでしょうか。これにはこう答えられています。

・お客様満足度はどこまで追求できているか
・社員満足度はどうか
・チームワークのレベルはどうか
・価値観はどこまで高まっているのか
・社員の価値創造はどこまで高まっているのか


…こういう尺度を重視しているといいます。

お気づきのとおり、これらの尺度は数値化や「見える化」していくことが難しいものが多いのですが、これらをどう評価していくかということに対して、答えを見つけることができれば、理念経営は大きく前進します。

理念経営を評価する尺度

塚越会長は近著『年輪経営』(光文社)で、「これからの社会は、価値観を大きく変えなくてはいけない。企業社会にしても、これまでの売上ランキングや利益ランキングに変わる物差しが必要。企業の価値を測る物差しとして『社員の幸せ度』というものをつくれないかと真剣に考えている。」と述べています。この価値を測る物差しが科学的に示されてくると、時代は間違いなく理念経営全盛となってくることでしょう。そして、そうした時がもうすぐそこに迫ってきていると感じます。

価値の見える化についてですが、再び横田会長の考え方に迫ってみましょう。こうおっしゃっています。

「日頃の会話、日頃の行動から判断しています。何か大きな事態に直面したとき、社内がどう動くか、あるいは、コミュニケーションのレベルがどう変わったのか。そういう日常の行動から判断するよりほかにありません。」

やや雲をつかむような感じですが、着眼点の具体例として以下のような事項を挙げておられます。

・社員旅行
社員たちがよろこんで参加しているかどうか。できれば参加したくないと思う社員がいるようでは職場のレベルは低い
・忘年会
忘年会などで途中で会場から出ていく人がいるのはレベルが低い
・社員の自宅
どれたけ会社の近くに家をかまえようしているか

まったく新しい評価の切り口といえます。何をもって価値ある企業とするか―これを「見える化」することは「理念経営のすすめ」の水先案内人の研究テーマとして最高かつ最大の課題設定と考えチャレンジしていきます。

それでは、最後に横田会長の次の言葉で本号を締めたいと存じます。

ビジネスの戦いはお客様との信頼関係獲得の戦いであることを社員に教え続けています。不況の時代には本当の意味でお客様に信頼されていないと結果に結びつかない。自分達がお客様に感謝される事によって、やりがいを感じたい、その為に追求するんだ、というふうに位置づけて取り組む。ここが凄く大事だと思っています。




新SVC通信 第285号(2009.04.20)より

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■ネッツトヨタ南国(横田英毅代表取締役会長) ※2010年より同社取締役相談役
経営の目的は「社員の幸せ」。社員が仕事に満足してない会社は存在価値がないと言い切るネッツトヨタ南国は、創業以来一貫して社員満足を経営の根幹に置いてきた。お客様の喜びは社員の働きがいにつながると徹底してきたCSはトヨタグループNo.1。また顧客本位の経営に贈られる「日本経営品質賞」を受賞するなど、その経営は注目を集める。

※オフィシャルサイト
http://www.vistanetz.com/
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