理念経営のすすめ
2008.5.5初UP/2009.8.16改訂
100年に1度の世界的経済環境の変化は、資本主義に生きてきた多くの企業を疲弊させています。しかし、まず第一に利潤の極大化を目的にするのではなく、その企業にかかわるすべての人の幸せの追求を目的とするソーシャル・アントレプレナー型の企業経営をしている会社は、全く揺らいでいません。
ベストセラーとなった法政大学大学院の坂本光司教授の名著「日本でいちばん大切にしたい会社」では、伊那食品工業さんや日本理化学工業さんのように、まさに人を大切にする中小企業が紹介されていると認識ができます。
こんなにすごい伊那食品工業株式会社
それらの企業に共通することは、ステークホルダーすなわち社員、顧客、そして地域社会との絆が強く、結果として高業績を残しているということです。逆説的に言うと「社会に必要とされている」「お客様に選ばれている」「社員に支えられている」という企業であれば、どのような経済環境の変化があったとしても持続可能な経営を実践していくことができるということに他ならないということでしょう。
これからの時代においては、会社の規模や売上高、知名度などではなく、「人を大切にする経営」を実践し成功する会社こそが世の中の中心になってくると考えられます。
現在の状況は、ポスト資本主義社会として人本主義社会が幕を開けたとみることが出来そうです。従いまして、社会のいろいろな局面で従来とは違った新しい考え方が必要とされ、試行錯誤されて形づくられていくことになるでしょう。
資本主義では利潤の極大化を最優先課題にしていましたから「効率経営」が絶対の経営手法でした。しかし、人本主義では社員のモチベーションを極大化させることが最優先課題となります。従いまして、当社は何のために存在しているかという理念が明確に示され、その目的や価値観に共感共鳴する企業文化を生み出す「理念経営」が機軸になります。
人本主義社会では、資本の力ではなく、理念の力が優る会社が、人々に愛され、選ばれて、輝いてくるようになります。たくさん利益を上げている企業より、やっていることに感動される企業のほうが社会への影響力を及ぼすようになってきます。
理念の理は「原理」の理、念は「信念」の念ということになります。今、心が本来あるべき原点にあるかを常に問いかけ、理念経営をどれだけ純度高く実践しているかということが価値ある企業の判断基準となってくるでしょう。
経営人事の世界においても、資本主義社会で適合していたマネジメントでも人本主義社会に適合しない考え方のものは淘汰され、必要とされるものが確立されていくことになります。
最も劇的に考え方が変わると思われることは「労使関係」です。使用者と労働者という上下の関係から、パートナーシップに基づく横の関係、すなわち「同志関係」へと職場の組織形成が進んでいくことになるでしょう。人本主義社会では、ステークホルダーとの'絆'が強く堅い企業であればあるほど成功する確率が高くなるということが言えるのです。この'絆'を強くする行為がエンゲージメントという考え方です。理念経営を実践していくうえで、非常に重要なマネジメント手法ということになってくるでしょう。
■理念経営がつくりだす21世紀型経営人事の特徴
世紀が変わり、明らかに20世紀型とは違う21世紀型の組織の存在を可視できるようになってきているのは確かなのではないでしょうか。また、アンチ20世紀型も見受けられます。理念経営を追求していくと21世紀型組織が形成されてくることになるものと考えられますが、これらを比較対照していくことで、これから理念経営を実践していこうとする企業において着手すべき経営人事のテーマが整理できてくるようです。経営人事に関していくつかのテーマで区分け検討してみると以下のような差異が読み取れます。
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20世紀型組織
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アンチ20世紀型組織
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21世紀型組織
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| 重視する経営要素 |
人・物・金
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人・物・金
・情報 |
人・人・人 |
経営課題
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右肩に上がること |
勝ち組になること |
選ばれること |
| 追求するもの |
規模 |
市場価値 |
理念 |
| 極大化目標 |
利潤 |
株価 |
モチベーション |
| 従事関係 |
労使関係 |
プロジェクト関係 |
同志関係 |
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帰属意識
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高い/ロイヤリティ
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低い/エンプロイアビリティ
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とても高い/エンゲージメント |
| 最優先満足 |
顧客満足 |
株主満足 |
社員満足 |
| 営業スタイル |
ノルマあり(結果重視) |
目標管理(プロセス重視) |
ノルマなし(顧客満足指標重視) |
| 報酬の考え方
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年功主義
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成果主義 |
納得主義 |
| 情報伝達 |
上位下達(垂直方向) |
双方向コミュニケーション |
360度コラボレーション |
| 評価傾向 |
相対評価 |
絶対評価 |
多面評価 |
雇用のあり方
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終身雇用 |
キャリア志向流動的 |
長期雇用 |
| 上場意識 |
重視する |
極めて重視する
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特段重視しない |
インセンティブの源泉
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金銭・職位 |
ストックオプション |
やりがい |
| 成長の仕方
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景気に左右 |
急成長 |
安定成長 |
| 行動規範 |
服務規律 |
契約概念 |
クレド・ミッションステートメント |
| 成功の鍵
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インフォーマル組織
(物的生産性) |
ナレッジマネジメント
(知的生産性) |
価値観の共有
(心的生産性) |
目標
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ナンバーワン |
ダントツ |
オンリーワン |
重視能力
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規律対応力 協調力
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説得力 表現力
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ホスピタリティ 親和力 |
| 労務管理 |
統制 |
自由と自己責任
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自律性、当事者意識重視 |
仕事のイメージ
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義務感 |
プレッシャー感
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ワクワク感 |
| 労働紛争 |
労働組合による団体交渉 |
個別労働紛争が頻発する
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生じる余地がない |
人件費の考え方
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負債・コスト |
効率化対象費用
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投資 |
| 取引先関係 |
かんばん方式 |
アウトソーハング |
協働・パートナー |
いかがですか。なかなか興味深くはないでしょうか。
当サイトでは、21世紀型の組織を検証し、どうすればそうなることができるのか実践論を展開していきます。また、弊社では「社員に笑顔を、会社に輝きを」を合言葉に、一社でも多く、理念経営を実践されて輝きを放っていただけるように水先案内人を務めさせていただきます。お役に立ててれば幸いです。お気軽にお問い合わせ、ご相談をいただければ幸いです。
※水先案内人とは
私たちはコンサルティングといった手法で初めに答ありきでアウトプットを作りあげていくことはしません。お客様が今後も持続的に発展成長していくために、理念経営の考え方を軸に「人」の問題について、あるべき姿について、改めて検討をして現状とのギャップを認識したうえで、どのようにして、あるべき姿に近づいていくかということを経営幹部の方々が実現策と改善計画としてご作成いただけますように、「気づき」のプロデュースをさせていただくことが水先案内人のミッションです。そして、構築された計画が、実行され浸透していくように改革のフォローアップを行っています。
■理念経営実践のためのご支援メニューの例
○現在の社員満足度の調査と課題の抽出
○経営理念を共有化させるためのプロジェクト支援
(クレド作成、業務日誌・朝礼・社内報等コミュニケーション改革ほか)
○感動経営、社員満足実践のための経営人事マネジメントの改善、改革指導
○意識改革のための勉強会
○ホスピタリティを高める組織風土醸成のための企画・立案
○経営理念に直結した賃金制度、評価制度など人事制度構築導入支援 など
【お問合せ先】svc-post@sharedvalue.co.jp
INFORMATION
■新コーナー 「他山の石・労務管理」設置しました。
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